2024/08/08
検証 南海トラフ地震臨時情報
能登半島地震への対応の課題
リスク対策.comでは、今年1月1日に発生した能登半島地震についても、アンケート調査を実施した。
北陸4県に本社や支社など自社施設を持つ企業(有効回答数250)を対象に、災害対応における課題を聞いたところ、「休日の災害対応ルールが徹底されていなかった」が2.55で最多となった(5段階評価で、点数が5点に近いほど課題が大きい)。次いで「社員の防災意識が低かった」(2.47)、「休日の災害対応ルールが決まっていなかった」(2.46)、「物流が遅延・中断した」(2.43)、「主要メンバーの代替要員を決めていなかった」(2.39)の順となった(グラフ5)。
これらの項目と、調査時点(1月末)においてBCPがどの程度機能したと感じているかを「機能した」「機能しない」「どちらとも言えない」の3グループで比較したところ、ほぼすべての項目で、「機能した」と感じている企業の平均点が「機能しない」や「どちらとも言えない」より小さなことが明らかになり、特に災害対策本部の設置や、休日の災害対応ルールの徹底、主要メンバーの代替要員の決定、関係部門との情報共有の遅れ、対応方針の決定の遅れ、など災害後の行動面で顕著な差が表れた(グラフ6)。
企業に求められる対策
今週末からは、盆休みに入る従業員が多い。これらの結果も参考に、企業は改めて災害対応を見直す必要がある。具体的には、南海トラフ地震臨時情報の内容の確認や従業員への説明、出社や帰省、出張に関する方針の確認、夜間や休日における災害対応の課題、など。
買占めや、急な買いだめは社会的な影響もあるため控えるべきだが、いつ大規模地震が発生してもおかしくないという前提に立ち、今何を優先して実施すべきか、考える必要がある。
【対策の例】
・従業員への臨時情報の説明
・防災やBCPの見直し
・南海トラフ地震発生の従業員のとるべき対応についての確認・周知
・臨時情報発表中における帰省や出張に関する方針
・帰省・出張中の災害発生時の安全確保や安否確認の方法の周知
・休日・夜間における対策本部の設置方法の確認
・主要メンバーの参集および代替要員の確認
など
オピニオンの他の記事
- コンプラ・ミルフィーユ
- 南海トラフ地震臨時情報と過去最強クラスの台風情報への対応
- 南海トラフ地震臨時情報への対応の検証
- 「来るか来ないか」より「来ても大丈夫か」
- 企業に求められる南海トラフ地震臨時情報への対応
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/09/17
-
-
Q&Aで解説 実務課題の超ヒント
「危機管理のマニュアル類が複雑すぎる」「キャリア採用のリスクマネジメント担当者が現場の声を吸い上げていない」など、本紙はこの半年間で聞いた読者の声を「Q(Question)」として集約、危機管理に詳しいコンサルタントに提示して「A(Answer)」をもらいました。危機管理の難問・疑問、その答えは――。防災・BCP編に続き、リスク管理・危機管理編をお届けします。
2024/09/16
-
-
-
-
相克抱え始まった人権DD 海外の動向と日本企業の対応
ビジネスにおいて、人権尊重への取り組みが不可欠になってきました。欧州では人権配慮を企業に義務付ける法律が次々に施行。米国では強制労働による物品の輸入を差し止める法律が運用され、対応次第では国際的な取引から締め出されかねません。海外の動向と企業の対応を、日本貿易振興機構(ジェトロ)調査部国際経済課の森詩織氏に聞きました。
2024/09/09
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/09/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方