リスクアドバイザー養成講座
リスク対策.comは、危機管理の専門メディアとして2007年からの運営開始以来、国内外数百件にわたる企業のBCPやリスクマネジメントの実例を取材してまいりました。この長年の取材活動を通じて、危機管理に優れた企業の共通要素として、危機管理担当者の能力の重要性を認識しました。こうした背景から、このたび兵庫県立大学大学院との共同研究のもと、「リスクアドバイザー」という新たな資格制度を創設し、3日間にわたる資格講座(別途、試験を実施)を開始することにいたしました。組織の危機管理に携わる実務者向けの研修です。経験の有無は問いません。どなたでも受講可能です。
危機管理が継続的に改善される組織
災害や事故、不祥事など、組織を取り巻くリスクが増える一方で、日本の組織においては、継続的に危機管理能力を組織に定着させていくことが難しいことが指摘されています。BCPやリスクマネジメントなどの専門部署を設置し、危機管理担当者を配置する動きも増えてきていますが、多くの場合は、定期的な異動が伴い、せっかく経験を積んでも後任への引継ぎが難しく、新たに危機管理担当者に任命された社員は、十分な教育を受けることなく、最初の数年間は、不安を抱えたまま五里霧中の状態で業務を行わざるをえないのが現実です。それでも、意識・意欲が高い人が担当になれば、組織全体の危機管理力は高まりますが、もし逆なら、これまで積み重ねてきた組織としての危機管理力そのものが低下しかねない。これが、日本組織の危機管理の大きな課題と言えます。
しかし、危機管理担当者が定期的に変わることは必ずしも課題とは言い切れません。一定の能力を持つ危機管理担当者の経験者を増やすことができれば、組織全体の危機管理を高めていくことにもつながります。そのためには、組織の危機管理担当者に「共通に求められる能力」を「見える化」し、「標準的な教育プログラム」により、その能力を効率的に身につけられるようにすることが求められます。そこで創設したのが「リスクアドバイザー」です。
危機管理担当者は、企業が直面するさまざまなリスクに対して、洞察力と専門知識を持ち合わせ、リスクの分析や予測、事前の対策・立案を行います。また、会社の存続を脅かすような脅威が生じた際には、即座に対応し事業を復旧できるような力を組織に定着させる必要があります。そのため、リスクアドバイザー資格では、広い概念での「リスクマネジメント」と「事業継続マネジメント」の双方の能力を身に付け、これらを各組織に適した方法で実践しながら、継続的に改善していけること条件にました。さらに、なぜ危機管理に取り組む必要があるのかといった法的根拠や、特に近年の事業形態では必ずと言っていいほど事業継続に影響を及ぼすITに関する知識も不可欠であり、これらも資格取得の要件に盛り込んでいます。
【研修内容】
資格取得にあたっては、3日間の研修を受けていただく必要があります。
1 ID理論に基づく研修プログラム
本資格制度は、兵庫県立大学大学院との共同研究により開発された科学的なプログラムです。教育設計ID(Instructional Design)理論をベースに、組織の事業継続力やリスクマネジメントに関する調査結果を取り入れたプログラムとして開発されました。計15時間の講義を受ければ、リスクアドバイザーとしての基礎的な能力を身に付けることができます。
2 ISOを基本とした講義内容
リスクマネジメントはISO31000、BCPはISO22301、そして危機管理は法律の理解やITなどの知識に加え、危機対応全般について学びます。
3 各組織の課題に適用するための実践講座
各講座では、各組織の課題に応じてリスクアドバイザーとしての能力が発揮できるよう「実践講座」を用意しました。ここでは、グループワークでの討議により、多くの気づきと、組織にリスクマネジメント、事業継続マネジメントを浸透させていくためのヒントが得られることでしょう。最終日には試験を行い、試験合格者を資格認定いたします。
【プログラムの例】 ※日程により講義順は変わりますscroll→
1日目 (リスクマネジメント) |
2日目 (事業継続マネジメント) |
3日目 (組織への定着) |
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オリエンテーション(9:45-10:00) ・講義の説明 ・試験の説明 |
オリエンテーション(9:55-10:00) ・講義の説明 |
オリエンテーション(9:55-10:00) ・講義の説明 |
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10:00 | 11:00 |
リスクを知る 【学習目標】 ・リスクの概念を理解する ・リスク関連用語を理解する ・リスクの洗い出しができる ・リスクを分類できる |
事業継続計画・BCPの基礎 【学習目標】 ・BCPの概念を理解する ・BCP関連用語を理解する ・BCP作成の手順を理解する ・BCPを推進する体制と方針を理解する |
危機管理概論 【学習目標】 ・危機管理の概念を理解する ・危機管理策、対応手順について理解する ・組織の危機対応策を理解する |
11:10 | 12:10 |
リスク分析・評価する 【学習目標】 ・リスク分析・評価のプロセスを理解する ・リスクマップを描くことができる ・リスク対応の原則・選択肢を理解する |
BCPの2つの分析と事業継続戦略 【学習目標】 ・BIAを理解する ・リスクアセスメントを理解する ・事業継続戦略を理解する |
危機管理と法律 【学習目標】 ・安全配慮義務を知る ・善管注意義務を知る ・努力義務を知る ・予見可能性と結果回避義務を知る |
13:00 | 14:00 |
リスクマネジメントを理解する 【学習目標】 ・リスクマネジメントのプロセスと枠組みを理解する ・組織のリスクマネジメントの5W1Hを説明できる ・自社のリスクマネジメント計画を立案できる |
BCP/BCMSと課題 【学習目標】 ・BCPとBCMSを理解する ・自社のBCP/BCMSの課題・問題点を指摘できる手法を学び、改善策が立案できるようになる |
ITリスクと対策 【学習目標】 ・ITを取り巻くリスクを知る ・ITを取り巻くリスクへの対策方法の概要を学ぶ ・災害時などのIT対策の概要を学ぶ ・初動対応プロセスについて学ぶ |
14:10 | 15:10 |
組織への導入・定着の枠組み 【学習目標】 ・組織へのリスクマネジメントの統合を理解する ・リスクマネジメントのプレーヤ-の役割を理解する ・リスクマネジメント活動を診断し課題を指摘できる |
BCP演習方法論 【学習目標】 ・訓練と演習の違いや位置づけを知る ・演習の種類を知る ・目的・目標の設定、振り返りの重要さを理解する ・演習の企画から実施、振り返りまでの流れを学ぶ |
リスク心理と対応訓練 【学習目標】 ・危機時に人間が陥る心理状況を知る ・組織のメンバーが危機を「わがこと」に感じるための仕組みを知る ・対応訓練への主体的な参加を促すための仕掛けを考える |
15:30 | 17:00 |
実践講座(ワークショップ) ・組織にとって効果的なリスクマネジメントの運用を考える |
実践講座(ワークショップ) ・組織にとって効果的なBCPの運用を考える |
実践講座(ワークショップ) ・被災シナリオ学習 |
リスクマネジメント、BCP、防災、法律、IT分野の学匠、最前線で活躍する一流の専門家が講師陣です。
岡部 紳一(リスク対策.com 特別アドバイザー)
大手損保に30年以上勤務し、企業・国際分野の財物保険、賠償保険の損害部門に所属し、幅広い業種の企業顧客の災害や事故の処理復旧に関わる。米国勤務8年を含め20年以上にわたり、欧米アジアの日系海外子会社の損害業務にも従事。その後、損保系のリスクコンサルティング会社に移り、災害事故時の復旧支援サービス、事業継続計画(BCP)にかかわる業務を担当。国際規格ISO(JISQ)31000リスクマネジメントー指針、およびISO22301などBCMS関連の国内委員を務め、それらの策定および改訂に参画。また、長岡技術科学大学大学院で、リスクマネジメント特論を担当。
合同会社 Office SRC 代表 田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より(株)インターリスク総研などのコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。国際危機管理学会(TIEMS)日本支部理事。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
丸の内総合法律事務所弁護士 中野 明安
日本弁護士連合会災害復興支援委員会委員長、関東弁護士会連合会災害対策協議会 WG座長、第二東京弁護士会 災害対策委員会委員長、災害復興まちづくり支援機構事務局次長、災害総合支援機構 副代表理事などを歴任。最近の著書に新日本法規「自然災害・感染症をめぐる労務管理-法的リスクと実務対応-」(2021年10月28日・編著者)、有斐閣「防災・減災の法務~事業継続のために何をすべきか~」(2021年3月10日・編著者)など
プリンシプルBCP研究所所長 林田 朋之
北海道大学大学院修了後、富士通を経て、米シスコシステムズ入社。独立コンサルタントとして企業の IT、情報セキュリティー、危機管理、自然災害、新型インフルエンザ等の BCPコンサルティング業務に携わる。現在はプリンシプル BCP 研究所所長として企業のコンサルティング業務や講演活動を展開。著書に「マルチメディアATMの展望」(日経BP社)など。
リスク対策.com編集長 中澤 幸介
2007に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト平成25年度事業継続マネジメントを通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務アドバイザー、平成26年度~28年度地区防災計画アドバイザー、平成29年熊本地震への対応に係る検証アドバイザー。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」「LIFE~命を守る教科書」等がある。
兵庫県立大学教授 木村 玲欧
早稲田大学卒業、京都大学大学院修了。博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院助手・助教等を経て現職。専門は防災心理学、防災教育学、社会調査法。災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。主な委員として、内閣府・防災教育チャレンジプラン実行委員会委員長、内閣府・「防災スペシャリスト養成」企画検討会委員、内閣官房・国土強靱化に資する民間の取組事例の調査業務に関する審査委員、国土交通省・社会資本整備審議会専門委員、関西広域連合・関西広域防災計画策定委員会委員などを務めている。
- 講義
- 座学と実践演習(課題提出)による気づきと落とし込みで危機管理に求められる実践的なスキルを身につけていただきます
- テキスト
- 講義および演習で使用する各種資料
- 試験
- 専用のオンライン試験システムを利用して行います
※カメラ機能が使えるPCと最新版のGoogle ChromeもしくはMicrosoft Edgeをご用意ください
資格の有効期間は認定日から3年間です。有効期間中は認定リスクアドバイザーの呼称、ロゴなどをご使用いただくことができます。
更新方法:セミナー受講(オンライン)
更新料金:PRO会員(チーム契約メンバー含む)1万1000円(税込み)
PRO会員以外は2万2000円(税込み)
3カ月に1回の頻度で、リスクアドバイザー同士の情報交換会を開催します。その都度、テーマを決めて勉強会とグループディスカッションを行います。
第1回リスクアドバイザー情報交換会は2024年12月13日(金)に東京にて行います。詳細はこちらから。2024年第4回(11月開催)養成講座の合格者もご参加いただけます。
- 研修1:リスクマネジメント
- 2月12日(水)09:45-17:00
- 研修2:事業継続マネジメント
- 2月13日(木)10:00-17:00
- 研修3:組織への定着
- 2月14日(金)10:00-17:00
- 試験(IBT方式)
- 専用の受験システムにインターネット経由でアクセスしていただき、2月17日(月)13時~2月24日(月)18時の間の任意の1時間、好きな場所で受験していただけます。詳細は研修最終日に説明します。
- 定員
- 30人
- 会場
- 神田カンファレンス・ルーム ルーム2
東京都千代田区神田錦町3-18-3 錦三(キンサン)ビル 4階
※同日夜から試験開始日の午前中までオンデマンドによる復習可能
- 地図
- 受講/検定料と支払方法
- 一般:8万8000円/人
リスク対策.PRO(有料)会員:5万5000円/人
本講座は、個人単位で認定を授与することになるため、リスク対策.PRO会員の代理受講の対象外です。PRO会員ご本人以外の方の受講料は一般価格となります。ご注意ください。
請求書払い(テキスト代・税込み)
※各日最後の実践講座(ワークショップ)でPCを使用しますので、各自でご用意ください。なお、レンタル(3日間税込み1万1000円)をご希望の場合はお申し込みフォームにてお申し込みください。
- 申し込み締め切り
- 2月7日(金) 16時
- キャンセルポリシー
- 2月7日(金) 17時以降のキャンセルは一律1万1000円(税込み)のキャンセル料をいただきます。ただし、次回以降への振り替えは可能です(2025年5月、8月、11月、2026年2月に予定)