2024/06/03
「共同通信 海外リスク情報」活用術
▼グローバルメンバーからの信頼
グロ-バルの海外安全対策で中核となるのが、100名を越える本社の各機能部門やビジネスカンパニー、海外の地域統括本社、そして国内外の各グループ会社のリスクマネージャーだ。
リスクマネージャーの主要メンバーを集めた企業倫理・リスクマネジメント委員会を四半期ごとに本社で開催。全社的なグローバル重要リスクを洗い出し、対策を議論する。危機が発生した場合も、リスクマネージャーが中心となって対応する。櫛田氏はこう説明する。
「例えば、アメリカのラスベガスで無差別銃撃事件が起こったとします。各国のリスクマネージャーは、すぐにシステムを確認して出張者を調べます。現地周辺に日本国内、アメリカ国内からの出張者がいた場合、アメリカの担当者と連絡を取り合い、日本の出張者は日本側で、アメリカの出張者はアメリカ側で対応するなど連携しながら動き出します」
基本的に出張者は出張元の国のリスクマネージャーが、赴任者は赴任先のリスクマネージャーが担当するが、時に赴任者であっても赴任元の国が担当するなど、個別の事情に応じて柔軟に対応しているという。オムロングループは、世界を6つのエリアにわけてリスクを管理する。日本なら地震や風水害、アメリカならテロや強盗対策のように、地域や国の特徴にあわせて対策を講じる。
同社の統合リスクマネジメントルールをもとにしたグローバルの協力体制は、当初からうまくいったわけではなかった。はじめは各エリアのリスクマネージャーにメールを送っても、反応すらなかった。
そこで、まずは協力を得られそうな担当者とやり取りをして、その結果をもって他のエリア担当者に相談したり、あえて直接顔を会わせる機会を増やし、話し合いを繰り返して協力を求めるなど、試行錯誤しながら、お互いの信頼関係を構築して進めていった結果、次第に返信も届くようになった。
「例えば、『ルール』という単語を使おうとするとアメリカやヨーロッパのメンバーから厳しい表現と受け取られ、『適切な表現はポリシーだ』と指摘されるなど、じっくりと対話しながら、進めていきました」
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