2019/06/10
危機発生時における広報の鉄則
公表方法:現場発信主義で
説明責任を果たすための公表方法はさまざまあります。最も効果的なのは記者会見です。基本的には起こった場所で行うということを覚えておくと良いと思います。ネットの炎上ならネット上の会社サイトで公式コメントを掲載する。ツイッターでの炎上ならツイッターでコメントする。工場火災なら工場かその近くで。なぜ現場発信なのかというと、現場から離れると情報の速度が遅くなるからです。また、2社が絡むなら別々に行うと発言が食い違ってしまうことでリスクが高まります。共同で行うと良いでしょう。
2011年の福島第一原発事故では、当初、東京電力、原子力安全・保安院、官邸の3カ所で発表したために微妙に食い違って混乱を招きました。そこで現場のモニターがある東京電力に統合対策本部を設置し、そこから一元的に情報発信する体制にしました。危機発生時には、現場に近い場所、かつ一元的な情報発信の方が無用な混乱やミスリード、誤報を防ぎます。
表現力:信頼される要素があるか
信頼・高い評価を得るためには「表現力」が重要です。その表現力を上げる要素は、「顕示性」「独自性」「真実性」「一貫性」「透明性」の5つであることは私たちの広報学会ではよく知られています。レピュテーションの研究者が1万件のデータから法則を導き発表されているからです(米ニューヨーク大学スターンビジネススクール名誉教授チャールズ・フォンブラン博士ら)。この5つの要素を言い換えると、「わかりやすいこと(顕示性)」「ありきたりの言葉ではないこと(独自性)」「本当の気持ちであること(真実性)」「ぶれがないこと(一貫性)」「結果だけでなくプロセスもみせること(透明性)」。
初回で初動3原則について解説し、「ポジションペーパー」の書き方を述べました。ポジションペーパーでは5つの項目を示しましたが、内容が十分でなくても、5つの要素が入っていることでダメージを最小限にする事例もあります。これについては別の機会に詳しく解説をしましょう。
(了)
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