立候補者が50人超えとなった東京都知事選挙。ポスター不適切掲示などで今後の選挙のあり方が議論になりそうですが、筆者は立候補者の中から注目した3名を取り上げ、記者会見におけるリスクコントロールとメディア演出力、対応力を比較しました。平時に求められるのはメディアコントロールではなく、リスクコントロール。ここをはき違えると墓穴を掘ります。
小池氏はオンラインで不規則発言を回避
まずは、現職である小池百合子氏の記者会見。6月18日10時から行われました。形式面での最大の特徴は、オンライン形式であったこと。冒頭でオンライン形式にする理由について、多くの記者に参加してもらうためなどとよどみなく述べていますが、学歴詐称疑惑についての質問を回避するためであることは明らか。オンライン形式で不規則発言や記者の選別を100%コントロールしました。
しかも会見時間は40分と短め。何名の記者が質問を希望していたのか視聴している方は不明でオープンさに欠けるように見えます。オンラインであれば、コントロールができるのですから、せめて1時間くらいは行ってもよかったのではないでしょうか。
公約は、保育料無償化、無痛分娩の補助制度創設などを柱に据えた内容で、ファミリー層へのメッセージが強く、各種報道機関もここをタイトルにした見出しが目立ちます。そもそも多くの男性は「無痛分娩」といった言葉を知らないでしょうから、新鮮だったのではないでしょうか。
出産する女性からするとありがたい話ではありますから、女性の心をぐっとつかむターゲティングは成功していたと思います。この無痛分娩の打ち出しは、蓮舫氏も「さすが」と一言出てしまいました。
指名された記者は日経新聞、テレビ東京、NHK、フリーランス、ネットメディアでした。マスメディアだけではなく、フリーランスや小さいメディアも指名していたことからバランスを考えていたといえますが、朝日新聞、読売新聞、東京新聞からの質問を受けないのはいただけない。報道陣側のストレスは残ってしまっただろうと思います。
表現力はさすがの出来。目力と温厚な声、時々見せる笑顔でソフトな印象作りをメインとし、ゼスチャーも交えて伝える力はありました。ジャケットはまさかの白。この狙いについて、スタイリストの高野いせこさんは「白ジャケットでブランディングしている蓮舫氏を意識しています。このジャケットの白は、来るなら来い、迎え撃つという服装メッセージです。余裕の構えですね」と解説していました。
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