図1.緊急事態コミュニケーション計画が発動されるまでの所要時間(出所)BCI / Emergency Communications Report 2019


 

図2.危機に関する最初の一報をトップマネジメントに報告するまでの所要時間(出所)BCI / Emergency Communications Report 2019

読者の皆様もご承知の通り、日本では安否確認システムの普及が進んでいるため、緊急事態におけるコミュニケーションというと、大規模地震のような災害が発生した場合の安否確認を思い浮かべる方が多いのではないかと思われる。しかしながら本調査で対象としているのは地震のような突発的な災害だけではなく、気象災害、サイバーセキュリティに関する事案、事故や不祥事など様々な事象を幅広く対象とした、状況把握、従業員への警報、関係者どうしの連絡、危機管理広報などを含む、緊急事態における総合的なコミュニケーションである。

読者の皆様におかれても、自らの組織で様々な緊急事態を網羅的にカバーできる緊急事態コミュニケーションのための仕組みが用意されているか、それがどのくらいの時間で稼働するかなど、本報告書の内容と照らし合わせてレビューしてみてはいかがだろうか。

■報告書本文の入手先(PDF32ページ/約2.6MB)
https://www.thebci.org/resource/emergency-communications-report-2019.html

注1)BCIとはThe Business Continuity Institute の略で、BCMの普及啓発を推進している国際的な非営利団体。1994年に設立され、英国を本拠地として、世界100カ国以上に8000名以上の会員を擁する。http://www.thebci.org/

注2)本報告書の2014年版については、紙媒体の『リスク対策.com』vol. 48(2015年3月発行)の連載記事「レジリエンスに関する世界の調査研究」第7回で紹介させていただいた。また2016年版については本連載の2017年6月27日掲載分(http://www.risktaisaku.com/articles/-/3158)で、2017年版については同じく2017年12月28日掲載分(http://www.risktaisaku.com/articles/-/4475)で、それぞれ紹介させていただいた。

注3) 英語ではemergency notification systemもしくはmass notification systemなどと呼ばれ、事故や災害などが発生したことを、多数の関係者にメールやSMSなどで自動通報するシステムの総称。機能としては日本で普及している安否確認システムに近いが、安否確認よりも、緊急事態が発生したことを多数の従業員に知らせたり、緊急対応チームを招集したりすることを主目的として開発されている。

注4)2017年版で「緊急事態コミュニケーション計画」を持っているという回答が既に86%に達しており、しかも2014年以降ほとんど変化がないため、調査する必要性が低いと判断されたのであろう。

(了)