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安心、それが最大の敵だ
最終回:偉才・嘉納治五郎の知られざる一面
NHK大河ドラマ「いだてん」に 触発されて講道館創始者・高等師範学校(現筑波大学)校長嘉納治五郎のエピソードを探してみた。その一部を紹介したい(先の連載記事で嘉納論最終回を約束しておきながら破約になったことをお詫びする)。
2019/10/28
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安心、それが最大の敵だ
1000年前・鎌倉時代の関東大水害
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。…朝(あした)に死に、夕べに生るるならひ、ただ水の泡にぞ似たりけり…」
2019/10/21
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安心、それが最大の敵だ
飢饉・飢餓の歴史を振り返る
「飽食時代」といわれる今日、「大旱魃(だいかんばつ)」「飢饉(ききん)」「飢餓」といったおぞましい言葉は「死語」になったのであろうか? 確かに「災害列島」日本の現状だけに限ってみれば「死語」になったように見けられる。しかしながら、戦前はもとより、戦後の高度経済成長期以降でも「飢饉」「食糧不足」は日本国民を襲ったのである。
2019/10/15
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安心、それが最大の敵だ
北海道開拓の父、米国人ケプロン
「北海道の雄大な景観(ランドスケープ)にはアメリカ的な雰囲気が感じられる」。こう語る内外からの観光客が少なくないという。なぜか? 明治維新以降、北海道の開拓・殖産興業・高等教育はお雇いアメリカ人が中心となって推進されたのである。ここに他府県とは異なる大きな特徴がある。その中心人物こそがホーレス・ケプロンなのである(以下、「北海道の歴史」(山川出版社)、「お雇い外国人 建築土木」(村松貞次郎)などから引用する。
2019/10/07
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安心、それが最大の敵だ
お雇い外国人ミルン、日本の地震・耐震構造学の父
明治新政府は殖産興業と軍備強化を国策の2大柱に据えた。だが、近代的な産業・軍事・医学・法律・教育方面の知識は比較にならないほど遅れており、その一方で欧米列強の政治・経済的圧力は高まる一方だった。そこで「近代化を急げ」との掛け声の中、薩長閥の新政府は欧米から「お雇い外国人」を招いて欧米への「追いつけ追い抜け」政策を推進した。
2019/09/30
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安心、それが最大の敵だ
太平洋戦争下、隠ぺいされた大地震と大被害
昭和19年(1944)12月7日の昭和東南海地震と翌20年(1945)1月の三河地震は、軍部によって報道管制が敷かれ完全に隠ぺいされた。当時、日本は太平洋戦争の最中であり、しかも敗色が濃厚となっていた。軍部は軍需工場の被害状況などの情報が連合国に漏れることを恐れ、情報を統制した。新聞・ラジオ報道を禁じたのである。昭和東南海地震は翌8日がマレー半島侵略3周年(大詔奉戴日)ということもあり、戦意高揚に繋がる報道以外の情報はより一層統制された(12月8日の各紙1面トップは、いずれも昭和天皇の大きな肖像写真および戦意高揚の文章で占められている)。言論・報道の自由などどこにもなかった。
2019/09/17
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安心、それが最大の敵だ
反骨の川柳作家、鶴彬
「昭和探偵 昭和史をゆく」(半藤一利、PHP文庫)中の<「街頭の抵抗者」鶴彬(つるあきら)>を再読し感動を新たにした。鶴彬の反骨精神にみちた短い生涯を是非読者の皆様にも知っていただきたくなった。以下、「昭和探偵 昭和史をゆく」など関連文献から適宜引用する。
2019/09/09
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安心、それが最大の敵だ
明治維新は薩長による「暴力革命」
「明治維新とは何だったのかー世界史から考える」(半藤一利・出口治明対談、祥伝社)を通読した。本連載では、先にご両人の対談は取り上げている。「世界史としての日本史」(小学館新書)で、「天皇制」をめぐる対談を紹介した。
2019/09/02
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安心、それが最大の敵だ
「日本人と愛国心」憲法改正は軍をつくること
「日本人と愛国心」(半藤一利・戸高一成両氏の白熱の対論、PHP文庫、2014年刊)。
2019/08/19
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安心、それが最大の敵だ
「ハムレット」から読み解く苦境の心理
「そもそも芝居というものは今も昔も言わば森羅万象を鏡に映して(Mirror up to nature)善悪にそれぞれの姿を描いて示し各時代の社会の姿をくっきりと映し出すことだからね」。(市河三喜、松浦嘉一訳)
2019/08/05
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安心、それが最大の敵だ
文豪夏目漱石の理科的頭脳・再々説
「漱石論」は、没後100年を超えた今でも、お堅い専門図書・研究論文から末裔によるくだけた読み物に至るまで屋上屋を架すといえるほど氾濫している。まさに「漱石産業」の観を呈している。本稿を書くに当たって注目した2人の学者の「漱石論」を考える。いずれも漱石の「理科的な頭脳」に着目した名論卓説である。まず「内と外からの夏目漱石」(平川祐弘東大教授・文学者)の「理科的な漱石」から引用したい。
2019/07/29
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安心、それが最大の敵だ
鬼怒川決壊から4年、洪水と治水の歴史
今年も洪水の季節を迎えた。私は洪水問題を考える時、東大名誉教授高橋裕氏の名著「洪水論」の一節を思い出すことを常とする。
2019/07/22
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安心、それが最大の敵だ
利根川東遷論、背景に足尾銅山鉱毒
私は河川の文化や洪水史に関心を抱くものとして、全国の主要河川は踏破したと考えているが、郷里の大河である利根川には今なお強い関心と愛着を持ち続けている。利根川は関東平野のほぼ中央部を南東へ流れ銚子市で太平洋に注ぐ。長さ322キロ。その流域は1都5県にまたがり、流域面積は1万6840平方キロで日本最大である。
2019/07/16
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安心、それが最大の敵だ
千葉県が生んだ気骨の言論人、越川芳麿
千葉の銚子が生んだ「知られざる」新聞記者の思想と生涯を紹介したい。越川芳麿(1906~82)の人と思想に関心を持つようになったのは、筑波大学の「歴史地理学調査報告、第10号」に掲載された水谷悟氏の論文「『極東新聞』と越川芳麿―一地方新聞から見る昭和期の銚子」を読んでからである。水谷氏の新資料発掘と調査批評さらには『房総歌人伝』(田辺弥太郎)の「越川芳麿」などを参考にしながら、気骨の言論人・越川芳麿の人生を確認したい。
2019/07/08
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安心、それが最大の敵だ
<大地震への心得>と<水害にあった時>
今年も、「水(水害)の季節」がやって来た。近年、洪水が各地で頻発している。地震は「忘れたころにやって来る」という。常時備えが不可欠である。今号では、防災・減災に取り組む研究機関や全国ネットワークが作成した<大災害への心得>や<被害に遭った際の対応>について紹介してみたい。引用する資料は、一般の方々の理解に配慮した身近なネタで分かりやすい記述となっている。これは重要なことである。
2019/07/01
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安心、それが最大の敵だ
災害列島日本、平成は大災害が多発
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。…」。言うまでもなく「方丈記」(鴨長明)の冒頭部分である。鎌倉初期の名だたる随筆であり、人生の無常観を活写した文学作品として知らない人はいない。この著名な作品は、また傑出した「災害文学」とも言えるもので、同時代の都・京都を襲った地震・風水害・火災を活写してやまない。生き地獄とも言える描写も少なくないのである。
2019/06/24
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安心、それが最大の敵だ
嘉納治五郎、五輪初参加と「英文日記」
東京オリンピック大会が来年に迫り、チケットの抽選販売やNHK大河ドラマ「いだてん」によりムードは高まりつつあるようである。以下は、1世紀余り前のオリンピック物語である。
2019/06/03
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安心、それが最大の敵だ
前回五輪の目前に東京を襲った大渇水
昭和39年(1964)、アジアで初めて開催された「世紀の祭典」東京オリンピック大会が、長引く異常気象のため中止のやむなきに至る危機性をはらんでいた史実をご存知だろうか。この異常気象とは何か? 大渇水である。「昭和の一大水飢饉」である。以下、拙書「砂漠に川ながる、東京大渇水を救った500日」(ダイヤモンド社)や水資源機構資料を参考にする。
2019/05/27
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安心、それが最大の敵だ
明治政府が急いで作った「天皇制」
元号が平成から令和に代わったことを契機に、天皇制を論じた図書数冊をあらためて読んでみた。初めて読んだ「世界史としての日本史」(小学館新書)に教えられることが多く、本稿に選んでみた。
2019/05/13
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安心、それが最大の敵だ
教育家・嘉納治五郎の信念
NHK大河ドラマ「いだてん」の主要人物の一人、嘉納治五郎については、講道館柔道の創始者(偉才)として、また先駆的な教育者(学習院教授・第一高校・高等師範学校などの校長)として、これまで紹介してきたが、今回は軍国主義教育に対抗した教育界の指導者として、嘉納の平和主義の信念を考える。
2019/04/15
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安心、それが最大の敵だ
薩摩閥三島通庸、土木建築の成果と民衆弾圧
明治期の政治家三島通庸(みちつね、1835~88)ほど、県令(現知事)として勤務した東北地方で評価の極端に分かれる人物も少ない。辣腕(らつわん)政治家三島は初任地山形県では<土木県令>として「後進県」の近代化に尽力し、帝都に通じる道路やトンネルをつくり、同時に県庁など公共施設の近代建築化に果敢に挑んだ。その目を見張る土木建築事業の成果は、恩恵として、また遺産として同県人に高く評価されている。ところが山形県の後に赴任した福島・栃木両県では評価は逆転し、自由民権運動を弾圧する憎むべき<鬼県令>として語り継がれている。悪評ばかりとも言える。
2019/04/01
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安心、それが最大の敵だ
軍部に屈しなかった政界重鎮・牧野伸顕
私は千葉県柏市に移り住んだ際、是非とも訪ねてみたいと願った同市やその周辺(東葛飾地方)の歴史的由緒のある地が少なからずあった。その中の一つが、戦前国際協調派の政治家・外交官として知られる牧野伸顕(まきの のぶあき)が晩年を過ごし永眠した柏市十余二(とよふた)の寿町(ことぶきちょう)である。私は近現代史に関心を持つものとして、牧野の生涯に関する書籍や文献を通読してきた。隠棲地・十余二で身内のみに見守られて静かに息を引き取った牧野は傑出した政治家といえる。その80年余りの激動の人生をスケッチしてみよう。
2019/03/25
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安心、それが最大の敵だ
都市計画家・石川栄耀の孤独な戦い
昭和20年(1945)8月15日、太平洋戦争は昭和天皇の玉音放送によって終わりを告げた。敗戦国の民衆を襲ったのは極度の飢えと虚脱感それにささやかな解放感であった。戦災による犠牲者は約185万人、領土は戦前の40%を失った。日本は北海道・本州・四国・九州の4島に押し込められ「三等国」に転落した。8月30日、GHQ(連合国軍総司令部)最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥が愛機「バターン号」で厚木飛行場に到着した。日本が初めて体験する「無血占領」と「間接統治」の始まりであった。
2019/03/18
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安心、それが最大の敵だ
戦時下の外交官吉田茂・検挙事件
戦前の英米派外交官吉田茂(後の首相)の戦時下における反軍思想とその苦闘を考える。
2019/03/11
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安心、それが最大の敵だ
<米将軍>徳川吉宗と<紀州流の祖>井澤弥惣兵衛
近年、大水害が頻発している。異常気象による<想定外>の豪雨などが要因との指摘を聞く。だが無堤地のままの中小河川や管理者のいない農業用ため池、湿地・沼地の宅地用乱開発、森林・原野の管理放棄などが被害拡大の背景にあるのではないだろうか。ここで江戸中期の大規模新田開発の成果と大水害の多発の因果関係を考えてみたい。
2019/03/04