<大地震への心得>と<水害にあった時>
防災マニュアルは分かりやすさが最優先

高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
2019/07/01
安心、それが最大の敵だ
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
今年も、「水(水害)の季節」がやって来た。近年、洪水が各地で頻発している。地震は「忘れたころにやって来る」という。常時備えが不可欠である。今号では、防災・減災に取り組む研究機関や全国ネットワークが作成した<大災害への心得>や<被害に遭った際の対応>について紹介してみたい。引用する資料は、一般の方々の理解に配慮した身近なネタで分かりやすい記述となっている。これは重要なことである。
国民向けの防災・減災資料(冊子、広報誌、文献など)は、分かりやすさを最優先すべきであることは言うまでもない。絵入りなどの視覚に訴える資料も歓迎されよう。専門用語の乱発などは論外である。以下によくできた分かりやすい災害対応資料を紹介する所以である。(原文のママとする)。
国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研、茨城県つくば市)作成の「大地震の心得」から、まず紹介したい。(対象は小中学生や主婦らとみられ、分かりやすいイラストが掲載されているのだが割愛する)。この「心得」は「いざ大地震発生!という時に適切な行動がとれるように、ふだんから心がけていることが大切です。地震の被害を防いだり、軽くしたりするために、ぜひ実行して欲しいことを標語(注意事項)にしました」と作成の目的を記す。標語を逐次紹介する。
・<丈夫な机、テーブルに身をかくそう>
グラッときたら、まず丈夫な机やテーブルなどの下に身をかくし、落ち着いて次の行動を考えましょう。
・<あわてて戸外にとび出すな>
あわてて戸外にとび出すと、窓ガラス・タイルなどの落下物が多いので、とても危険です。
・<せまい路地・へいの近くをさけよう>
広い道・広い庭などにひなんしましょう。ブロックべいなどがたおれてくるので注意しましょう。
・<人命救助にも消火が第一>
大地震では、まず第一に火を出さないようにしましょう。出火した場合は、まわりの人と協力してすぐ消火することが、多くの人命を救うために大切です。
・<ゆれがおさまったら火のしまつ>
ゆれているあいだは、熱湯や油でやけどをすることがあります。無理をせず、ゆれがおさまってから、あわてずに火のしまつをしましょう。※火が天井に届いたら、ひなんが優先です。
・<落ちついて行動をはじめましょう>
ゆれがおさまったら、落ち着いて、適切な行動をはじめるようにしましょう。ただし、大きな地震では、余震がいくつも続いて発生することがあるので注意しましょう。
・<確実な情報を得よう>
大地震のあとはデマがとぶことがあります。ラジオやテレビなど、発信元の確かな情報を得るようにしましょう。
・<海岸や川の近くでは津波に注意、すぐ高台へひなんしよう>
津波は、地震直後にやってくることもあります。海岸付近や川沿いでゆれを感じたら、すぐに高台へひなんしましょう。強いゆれがなくても津波がくることがありますので、注意しましょう。
・<山地では山くずれ、傾斜地ではがけくずれ>
大地震では山くずれや、がけくずれが発生します。谷に住む人はふだんから注意し、いざというときにはすぐひなんしましょう。
・<われがちの行動は混乱のもと>
移動やひなんに自動車を使うと、交通の混乱をまねき、緊急車両の通行のさまたげになります。順番や、きまりを守り、協力しあうことが大切です。
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/25
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方