中部経済産業局はこのほど、「令和6年能登半島地震におけるものづくり企業の復旧ポイント事例集」及び「レジリエンス向上ガイドブック」をとりまとめた。中部地区は、サプライチェーンの維持が求められる製造業が集積していることから、近く発生が懸念されている南海トラフ地震に対してもBCPのさらなる普及・強化が必要と考え、能登半島地震における被災事例や事前対策の有効性、復旧までのプロセスや組織文化についてヒアリングを実施し、今後のレジリエンス向上に役立てられるものにした。

事例集では、アイシン軽金属株式会社、石川サンケン株式会社、EIZO株式会社 、SWS西日本株式会社、株式会社NTN能登製作所、加賀東芝エレクトロニクス株式会社、三協立山株式会社、シーケー金属株式会社、杉国工業株式会社、株式会社スギヨ、大同工業株式会社 、高山リード株式会社、立山電化工業株式会社、株式会社白山、株式会社メタルヒート、株式会社ワクラ村田製作所の16社について、被災概要や、防災・BCPの取り組み、震災後の対応などをヒアリング。このうち、SWS西日本株式会社は、七尾市の田鶴浜工場が震度 6 強の揺れに見舞われ、建物の地盤沈下や天井崩落、浄化槽の隆起(トイレの利用不可)など甚大な被害を受けた。従業員の被害も大きく、約200名のうち、全壊10名、半壊以上が134名にのぼったという。1月3日には、親会社である住友電装から支援物資として食料、毛布、カイロなどが現地に到着。従業員に声をかけ、必要な物資を取りに来られる体制を整えた。事例集では、他社へのアドバイスとして「多くの従業員が出社できないことは、事業の再開にあたっては最も大変な課題となりました。できる限り従業員の多能工化を進めるほか、日頃から教育や訓練を通じてスキルの幅を広げておくことが大切だと感じました」「グループ会社や取引先からの支援は非常にありがたい一方で、ライフラインが途絶している中では支援の受け入れに混乱が生じたことも事実です。応援要員の人数や役割を事前に調整した上で受け入れることが必要なほか、自らが応援に駆けつける場合は現地の負担にならないよう準備が必要だと思います」などと、まとめられている。

 レジリエンス向上のステップアップガイドは、こうした事例取材を通じて作成したもので、1:従業員の安全確保、2:従業員との関係構築、3:取引先との関係構築、4:出社できない人がいることを想定する、5:自社の限界を知る、の5つのStepで対策が集約されている。

リスク対策.comでは、3月28日(金)に、経済産業省中部経済産業局総務課 災害対策専門官の伊野恵理氏を講師に招き、特別セミナーを開催します。

BCPの実効性を高める5つのポイント~能登半島地震の16社の分析結果を解説~

https://www.risktaisaku.com/articles/-/100428