本報告書では、すでに述べた4つのカテゴリーごとにより詳細な分析結果が示されている。図2はこれらのうち「ビジネス」に関する個々のリスクの中で、現在および今後12カ月の間に最も重大なリスクがどれかを尋ねた結果である。左側の赤色が全ての回答者による回答結果、中央の紫色が英国、右側の水色が米国の回答者による回答結果を表わしている。

画像を拡大 図2. 「ビジネス」のカテゴリーで最も懸念されているリスク(出典:Beazley / New world, new risks: How are businesses’ attitudes to risk & resilience changing?)

報告書中の説明によると、これらの中で最も懸念が集まっている「Supply chain」には、サプライヤーの破産や、取引ルートや取引メカニズムの混乱などが含まれている。「Business interruption」は事業所にアクセスできなくなるか、普段通りの取引ができなくなることによる事業中断と説明されている。「Boardroom」とは役員室という意味だが、ここでは役員の怠慢や不適切な意思決定、ガバナンスの欠如を含むリスクを指すものとして用いられている。「Reputation」はブランド価値や顧客からの信頼に対する悪影響である。「Employer」はメンタルヘルスを含む労働安全衛生に関するリスクを指すが、パンデミック後の新しい労働環境(new normal working practices)への対応を含むことが明示されている。「Crime」には組織的な犯罪や不正行為などが含まれる。

これらの中で特に「Supply chain」や「Boardroom」、および「Reputation」は図1の横軸(resilience)が低い(=準備ができていない)ため、より懸念が大きくなっているものと考えられる。