2021/09/28
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
図1は調査結果をもとにして作られた「リスク・レジリエンス・マトリクス」である。リスクアセスメントの結果をまとめるのに用いられるマトリクスに似ているが、縦軸にリスクを、横軸にレジリエンスをとった独自のマトリクスである点にご注意いただきたい。
縦軸は、個々のリスクに対して回答者が認識している懸念の度合いを表わしている。これに対して横軸は、個々のリスクに対して自社がどのくらい準備できていると認識しているかを表わしている(右にいくほど準備ができている)。
サイバー攻撃に関するリスクとパンデミックとが最も右上、つまり「最も懸念されており、かつ準備できている」という位置にプロットされている。パンデミックに関してはすでに各社ともさまざまな対策を実施中であることから、最も右側に来ているものと思われる。
しかしながらサイバー攻撃に対して回答者の多くが準備できていると認識していることに関しては、本報告書では疑問が投げかけられている。これは、パンデミック対策の影響で業務のデジタル化が進む一方で、サイバー攻撃が増加傾向にある現状において、サイバー攻撃のリスクが高まっているのに対して対策方法などが開発途上なのではないか、という見立てに基づいている。
また保険業界としては、マトリクスの左上の部分が注目されている。ここは「リスクが高いと懸念されているのに対して、あまり備えができていない」という部分であり、サプライチェーンや法規制の変更、事業中断、気候変動、政治的リスクなどが含まれている。これらに関しては保険でカバーしにくいリスクが多いこともあり、顧客が保険会社に何を求めているのかを理解した上で、保険会社がもっと努力すべきだと指摘されている。
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方