この様式では、表面にご本人、ご家族、ご近所さん、福祉事業者などの企業の4者がそれぞれ行動の時系列を記入するようになっています。裏面には、ご本人の状態や非常時に重要な情報を記載します。

要配慮者マイタイムラインの最も大切な点は、この様式を通じてご本人を中心とした人と人とのつながりを紡ぐことです。作成ヒント集の表紙の絵にあるように、要配慮者の方を思う気持ちが多くの方をつなぎ、それが広がって地域全体の助け合いの連鎖が生まれるとステキな街になりそうですね。

でも「何かお手伝いしたいけど、何ができるのか分からない」と感じてしまう方も多いのではと思います。日ごろ要配慮者の方に接していない方は、災害時にどのようなことが困るのか見えにくいものです。

下記のYouTubeサイトでは、どこにでもありそうなご近所さんの様子が劇団の方によって再現されていますので、ぜひご覧になってください。

演じておられるのは、なんと御年94歳の現役俳優さんです。
https://oibokkeshi.net/

また、動画が見られない環境の方には漫画も用意されています。

以前、私の職場がある香川県でこの要配慮者マイタイムラインを利用していただくワークショップを行いました。そこに参加されていた方が、以下のようなことをおっしゃいました。

「普段、災害を意識する機会がなかなかないんです。でも、要配慮者の方の支援をしようと思ったら自分の備えがきちんとできていないといけないということに気付きました。実は助けようとして、自分が助けられているんだなと感じます」

要配慮者の災害時の支援というと、どうしても「誰が助けに行くのか?」といったことが議論の中心になります。でも、ちょっと見方を変えてみましょう。私たちは、みんなで一緒に助かるための「チーム」です。チームですから、全ての人に役割があります。

要配慮者の方は、香川県の事例ですと私たちに災害の備えの必要性を気付かせてくださり、早めの避難の警鐘を鳴らしてくださる存在でしょう。こんな風に考えてみると、取り組み方も変わってくるかもしれませんね。

今回ご紹介した要配慮者マイタイムラインは地域での活用事例ですが、社員や顧客に要配慮者の方がおられるケースもあるのではないでしょうか。

皆さんの会社のBCPでも、ぜひ取り組んでみてください。