状況の変化は政府も再三発信している

では、今の時期はどう判断したらよいのでしょうか。相変わらず、毎日のように都道府県別にPCR検査陽性反応者数が発表されるため、企業経営者として自社も発表しなければならないと焦ってしまう気持ちはわかりますが、現在の状況は以前とは異なっていることを認識しなければなりません。

新型コロナウイルスは、致死率が高くない、PCR検査陽性であっても無症状の人が多い、持病や高齢者以外は軽症であることなどです。菅官房長官と安倍総理も同じ説明を繰り返しています。直近では8月6日広島原爆の日に記者会見で安倍総理は次のように述べています。

その人数だけみれば4月の緊急事態宣言の時の数を超えていますが、現状はその時の状況とは大きく異なっています。4月末の重症者数が328人に対して足元では104名、5月の死亡者数は460名に対し、先月は37名。その背景には比較的症状の軽い若者の感染者数が多いことに加え、これまでの知見の蓄積を踏まえて治療の選択肢の幅が拡大していることもあります。感染者数が増えているのはPCR検査数が増えているためで、最近では1日5万件を実施しています。無症状の濃厚接触者数は7000件から2万件の実施件数。医療体制も整備も進んでいます。病床数は2万床を確保し、重症者用は全国100名の患者に対して2500床病床数が確保されています。入院期間も3週間から1週間に短縮しています。

このように、4月とは状況が異なっていると説明しています。新規感染者数だけに目を奪われないでほしいとうことです。そして「感染拡大をできるだけ抑えながら、社会経済活動との両立をしっかりと図っていきたい」と訴えています。

9日の長崎原爆の日でも同じ内容で、疲れた叫びのようなものを感じましたが、再度雇用、経済に向けて舵取りをする言葉には力がこもりました。「4-6月のGDPはマイナス20%以上。リーマンショック以上のインパクトで雇用に影響する」「感染をコントロールしながら、経済との両立を図るのが政府の方針である」。しかし、首相メッセージは国民に届きません。理由は別の機会としましょう。