熊本地震後の関連死の状況

熊本地震では関連死が222人にのぼり、直接死50人の4.4倍以上になってしまいました。熊本県は、熊本地震による災害関連死の状況について、次の貴重な調査を行っています。

これを見ると、死亡時の年代は、高齢になるほど増えていきます。90代になると下がりますが、元々の人口が少ないためです。また、発災後1週間、1カ月以内という早い時期に亡くなる方が多い。発災当初の避難生活が高齢者にいかに過酷なことか、考えさせられます。

コロナ禍の避難では、少人数・分散避難が重要とされます。災害関連死を防止する観点からも、これは望ましいことです。ある程度、環境の整ったところで落ち着いて暮らせる生活避難が、特に高齢者にとってのこれからの避難の在り方になります。

子どもや知り合いが住んでいる住宅への縁故避難、ホテル・旅館への避難、日常から通っている福祉施設への福祉避難などが候補になります。小中学校の体育館で、床で雑魚寝する避難生活は、もはやあり得ません。

亡くなられた場所で最も多いのは自宅で約4割、そのほかに自宅から病院等に搬送されて亡くなったケースが24%あり、この両者で6割を超えています。

「自宅にいるから安心」ではなく「自宅だから危険」と考えを改めなくてはなりません。このデータを見て以来、私たちボランティアも、早く在宅の被災者を訪問して支援をするとともに、具合の悪い方を発見することが大事というのが常識となっています。

避難生活による心身の衰弱

どんなに年齢を重ねても、健康で、生きがいをもって前向きに生きていたいものです。ところが、災害後は、残念ながら心身ともに衰弱する傾向があります。

まず災害後の要介護者認定数は、東日本大震災(岩手・宮城・福島)後に前年同期比24%増(石巻除く)となっています。特に避難者が多かった福島県は38%増、全町避難となった富岡町は約4倍に激増しました。増加理由は「仮設住宅など避難先の生活の影響による心身の衰え」が最多でした(出典:2012年3月4日朝日新聞デジタル)。熊本地震後にも同様の傾向があり、最も被害の大きかった益城町は前年比20%増、西原村は18%増となっています。

そして、心の健康では、東日本大震災後、次のようにうつ症状を持つ人が顕著に増えています。