福祉防災コミュニティ協会は能登半島地震において福祉避難所を開設した事業者にアンケートを実施(イメージ:写真AC)

福祉避難所の開設状況

12月10日に開かれた石川県議会の一般質問で、福祉避難所は71カ所が事前に指定または協定を結んでいたが、開設されたのは13カ所だったというニュースが紹介された(NHKニュースWEB12月10日19時18分)。馳知事も、少ないと思うので検証したいというコメントを寄せている。

しかし、私たち(一社)福祉防災コミュニティ協会は、少なくとも34カ所の福祉施設が福祉避難所を開設し、懸命に地域の高齢者等を支援していたことを現地で確認している。福祉関係者のご努力を、ぜひご理解いただきたいと強く願う。

福祉避難所アンケート

先月に続いて、福祉避難所を開設した34施設に行ったアンケートから、分析が済んでいる21施設の内容を紹介する。

(7)地震発生直後の活動

●地震発生直後の対応

画像を拡大  ※「計画」は非常災害対策計画、BCP、その他マニュアルを指す

あれだけの大災害にも関わらず、利用者の安否確認、被害状況の把握、職員の安否確認、避難者の受入を計画通りに実施された施設が多くあった。一方で、職員の参集は、計画にはあるが対応できなかった施設が多くある。

応援職員の手配は計画にない施設が多くあったが、多くの施設で対応をされた。また、実施していない施設もみられる。

応援職員の手配と避難者の受入れについて、計画にない施設がみられることから、今後、計画への位置づけ、関連マニュアル等の整備と訓練が必要になると思われる。

(8) 福祉避難所の指定・協定の状況

●福祉避難所の指定・協定の状況

76.1パーセントの施設は事前に指定あるいは協定を結んでいた。地震後に指定された施設が2施設、協定を結んだ施設は1施設だった。また、自施設で避難者を受け入れていた状況について、市町の制度として認められているかどうか不明な施設が2施設ある。やはり、事前に福祉避難所の指定、協定を結んだ方が避難者を受け入れやすいと思われる。

(9)安否確認方法

●安否確認の手段(利用者/職員)

利用者、職員の安否確認で最も多かった手段は電話だった。また、利用者には携帯電話を介したショートメールがよく使われている。職員の安否確認にはラインなどのSNSがよく使われていた。ただ、通信が途絶した地域も多かったため、安否確認には3~6日要している施設が多くあった。

(10)福祉避難所の開設運営で苦慮したこと

●福祉避難所の開設運営で苦慮したこと

苦慮したことはやはり断水。トイレが使用できないという声が最も多く、次いで対応する職員不足、必要物資不足、施設設備が被災して使用できなかったこと、などがあげられている。人もモノもインフラも設備も、何もかもが不足し、厳しかったといえる。