2020/06/02
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第2波への備え
また、「第2波および第3波のパンデミックに備える計画を検討しているか」という設問に関しても、この設問が追加された第4回から大きな変化がない(図3)。パンデミックの第2波、第3波が起こり得るということは多くの専門家から警告されているが、この設問に対する回答に変化がないということは、早期から第2波、第3波を視野に入れて準備している組織と、そのような準備に手を付けない組織とが二極化しているという状況なのかもしれない。
パンデミックの状況や政府などによる規制の内容などは各国・地域によって異なるが、パンデミックによる状況変化が続いている中で継続的に実態調査が行われることの意義は大きいであろう。BCIによるこの調査がいつまで続くのか分からないが、できれば今後も継続的に調査結果をチェックし、本連載でも紹介していきたいと思う。
■ 報告書本文の入手先(PDF 18ページ/約1.0MB)
https://www.thebci.org/resource/20200529-coronavirus-report-issue-6-final-pdf.html
注1)BCIとはThe Business Continuity Instituteの略で、BCMの普及啓発を推進している国際的な非営利団体。1994年に設立され、英国を本拠地として、世界100カ国以上に9000名以上の会員を擁する。https://www.thebci.org/
注2)第1回〜第4回の調査結果については、それぞれ次の通り紹介させていただいた。なお第5回については他の報告書を紹介する都合上、紹介を見送っている。
第93回:海外企業における新型コロナウイルスへの対応状況
BCI / Coronavirus Organizational Preparedness
https://www.risktaisaku.com/articles/-/27124
第95回:海外企業における新型コロナウイルスへの対応状況【続報】
BCI / Coronavirus Organizational Preparedness 2nd Edition
https://www.risktaisaku.com/articles/-/28441
第97回:海外企業における新型コロナウイルスへの対応状況【第3報】
BCI / Coronavirus Organizational Preparedness 3rd Edition
https://www.risktaisaku.com/articles/-/29855
第99回: 海外企業における新型コロナウイルスへの対応状況【第4報】
BCI / Coronavirus Organizational Preparedness 4th Edition
https://www.risktaisaku.com/articles/-/31463
注3)ちなみに欧州からの回答が最も多かったのは第1回で52.9%、欧州からの回答が最も少なかったのは第3回の39.7%である。
注4)BIAが所定の手法に基づいて実施され、かつ検討プロセスやそこで用いられたデータも含めて何らかの形で文書化されていないと、第2回調査までのような短期間で見直しを実施するのは困難であるし、BCMとしてのマネジメントプロセスが存在しなければ、このような困難な状況において見直しという行動に至らないであろう、という筆者の推測である。
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方