(出典:BCI / Coronavirus Organizational Preparedness 3rd Edition 表紙)

BCMの専門家や実務者による非営利団体BCI(注1)は、主にBCI会員を対象として新型コロナウイルスへの対応に関するアンケート調査を既に2回実施し、本連載でもこれらの報告書を紹介させていただいたが(注2)、早くも3回目の調査が実施され、その報告書が公開された。同じような報告書の記事が続くのもどうかと考えたが、パンデミックの影響下に置かれた現在の状況においてこのような調査結果を知ることは重要だと思われるので、本稿ではその第3回の調査結果を紹介させていただく。

3回目の調査は4月14、15日に行われているので、今回も前回調査から約2週間後に実施されたことになる。今回は58カ国の347人から回答を得ており、報告書は17日に公開された。

前回同様、今回もグラフが非常に細かくなってしまって本ウェブサイト上で読めるように掲載するのが困難なので、図を報告書から引用せずに、前回からの変化や注目すべき(と筆者が考える)ポイントを紹介させていただきたいと思う。図をご覧になりたい方は本報告を各自ダウンロードしてご覧いただければ幸いである(注3)。

まず在宅勤務などの増加に伴って、コミュニケーションの頻度が減った従業員に対するサポートに関して興味深いデータがあるのでご紹介したいと思う。全体的に第2回と第3回との間では結果にあまり違いがないが、メンタルヘルスに関する項目に若干の変化が見られる(注4)。例えば図1は、「対応計画に新型コロナウィルスに関する心理的観点(psychological aspects)が含まれていることを確認した」という設問に対する回答の結果である(第1回調査ではこの設問はなかった)。この点に関して報告書本文では、恐らく多くの組織において対応計画の中で長期戦を想定した準備がされていなかったので、後から追加で検討を始められたのだろうと推測されている。

写真を拡大 図1. 「対応計画に新型コロナウィルスに関する心理的観点が含まれていることを確認した」という設問に対する回答結果(出典:BCI / Coronavirus Organizational Preparedness 3rd Edition をもとに筆者作成)