2019/12/27
企業をむしばむリスクとその対策
□対策のポイント:判断基準を作り、毅然とした対応を
社会一般的に、顧客の要求を断らなくてはいけない場合、風評被害におびえ過ぎているきらいが感じられます。過去にはカスハラを行う本人はもちろん、その場に居合わせた人が面白半分に撮影しSNS上に公開するケースがありましたし、そういった投稿を見たSNS利用者が面白がって拡散などを行ってしまうケースも存在しました。しかしながら、近年のSNSに係わる利用者のネットリテラシー(情報を評価・識別する能力)は以前に比べて格段に向上していることも事実です。特にカスハラに関連する投稿では、その内容について「どちらに理かあるか?」を冷静に判断する閲覧者が増加しています。そして常識的に考えておかしい内容や、人を不愉快にさせる内容、偏った考え方の投稿では、書き込まれた側より、書き込んだ側が非難される時代になってきています。
投稿されることを単純に恐れるのではなく、企業としてこれまでの司法判断やガイドラインを参考に悪質クレームの判断基準を作り、毅然とした対応を行っていれば、一時的に非難めいた投稿が拡散しても、すぐにその対応について支持する投稿が増えていき、騒ぎは沈静化に向かいます。仮に事実無根の誹謗中傷を一方的に書き込まれた場合には、まず、その書き込まれた媒体の管理・運営者に削除を求めましょう。それが困難な場合には「プロバイダー責任制限法」により、法務省法務局に相談し、法務局からプロバイダーに対し、発信者の情報の開示請求と人権侵害情報の削除要請を依頼することも可能です。
企業としては、クレームに関して現場担当者に全てを任せるのではなく、組織として顧客・消費者や取引先からのクレームに関する基準を明確にした上で、現場担当者への対応教育を実施する必要があるでしょう。また、カスタマーハラスメントに該当する悪質クレームと判断した場合は、専門家や専門部署に担当を交代するのが得策です。
悪質クレーマーによる風評被害を恐れるより、悪質クレーマーから現場スタッフを守ることを、ぜひ優先してほしいと思います。
今回のテーマ:「外部(ハザード)リスク」「管理職・一般社員」

(了)
企業をむしばむリスクとその対策の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方