悪質クレームを見極める
第12回 カスタマーハラスメントリスクへの対応(外部リスク)
株式会社フォーサイツコンサルティング/
執行役員
五十嵐 雅祥
五十嵐 雅祥
(一財)レジリエンス協会幹事。1968年生まれ。外資系投資銀行、保険会社勤務を経て投資ファンド運営会社に参画。国内中堅中小製造業に特化した投資ファンドでのファンドマネジャーとしてM&A業務を手掛ける。2009年より現職。「企業価値を高めるためのリスクマネジメント」のアプローチでコンプライアンス、BCP、内部統制、安全労働衛生、事故防止等のコンサルティングに従事。企業研修をはじめ全国中小企業団体中央会、商工会議所、中小企業大学校等での講師歴多数。
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□事例:悪質クレームでうつ病
Aさんは、某地方都市にあるスーパーマーケットBでレジ打ちを担当している40代のパート社員です。スーパーマーケットBはその地方では誰もが知っている食品スーパーであり、地域の台所の役割を担っています。
ある日の夜、Bでは、総菜コーナーに陳列していた「天ぷらの盛り合わせ」パックの消費期限が迫ってきたこともあり、通常1パック400円のところを、半額の200円に値下げをしました。パックの値札にも「半額200円」としっかり表示をした上での販売でしたが、そのパックを手に取りAさんの担当するレジに来た50代と見られる男性が、レジで会計をする際、「200円の半額なのだから、この商品は100円のはずだ」と言い出しました。Aさんは、通常400円商品が半額の200円になっているという説明を行いましたが、男性は納得せず、自分の主張を繰り返しました。また、男性は「表示の仕方が悪い」「この店は客から不当に高い金額を取ろうとしている」と言い出しました。Aさんは表示に誤解を与える点は謝りましたが、100円にはならないことを分かってもらおうと説明を続けました。すると「お前はばかなのか?」「よく恥ずかしくもなくレジ係をやっていられるな」と、Aさんへの人格攻撃が始まりました。さらには「お客は神様だろう」「俺たちのおかげで給料がもらえてるくせに」と言ったり、「この店は全く客を馬鹿にしている。このことはSNSで拡散する」などとまで言い始めました。騒ぎを聞きつけた店長が駆け付け、男性の説得に努めましたが、男性はその後も同じような発言を延々と繰り返し、結局2時間もレジの前に居座り続けました。
これ以上は営業妨害に当たると思った店長が「まだ居られるのであれば、警察に通報します」といったことで男性は帰っていきましたが、その帰り際にも「今日のことはネットに書きこむから」とのセリフを吐いていきました。
Aさんは、男性から浴びせられたさまざまな言葉がトラウマになり、仕事を続けることが苦痛となってBを退職しました。そればかりか、退職後もBの看板を見ると気分が悪くなるようになり、天ぷらも食べられなくなってしまいました。病院へ行ったらAさんは「うつ病」と診断されました。
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