再び日本で発生

2018年9月9日、岐阜県の養豚場において、日本では、1992年以来26年ぶりとなる豚コレラの発生が確認されました。原因となった豚コレラウイルスは、国外からの観光客により違法に持ち込まれた非加熱の豚肉に付着しており、そのウイルス汚染非加熱豚肉が廃棄され(おそらく農村部で)、野生のイノシシに食べられ、そのイノシシが感染し、何らかの経緯で養豚場に侵入した可能性が考えられています。ウイルスに感染したイノシシは養豚場内に侵入しても豚舎内に入ることはできず、養豚場内に生息する多数のネズミなどを介して、豚コレラウイルスが豚舎内に持ち込まれたと推定されています。豚コレラの国内での発生地域は拡大しているのですが、発生養豚場から別の養豚場へ直接ウイルスが伝播した事例は起きていません。

分離された豚コレラウイルスの性状は、中国で分離された病原性の低いウイルスに類似することが分かっています。

岐阜県で発生した豚コレラは県を越えて発生が拡大しました。2019年9月末日までに、 岐阜県、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府、三重県、福井県、埼玉県(1府7県)の養豚場で43件の発生が確認されています。しかし、ウイルス封じ込めのめどはついていません(図1)。

また、2018年9月13日以降、岐阜県、愛知県、三重県、福井県、長野県、富山県、石川県、滋賀県、埼玉県(9県)において野生のイノシシの豚コレラ罹患が確認されています。すなわち、少なくとも、豚コレラ発生地域内では、人では活動を制御できない野生のイノシシでのウイルス感染が広範に起きており、そのイノシシが豚コレラウイルス感染源になっていると考えられています。なお、豚コレラ未発生の自治体においても野生のイノシシの検査は実施されていますが、現在のところ石川、富山両県以外に陽性事例は確認されていないようです。