□対策:アペタイト、リミット、プロファイルを理解する

「リスクテイク」とは、リスクマネジメントプロセスの一環として単にリスクを低減するだけでなく、リスクを理解し、事業の進展のために必要な場合には「適切に保有する」ことを言います。では「リスクを適切に保有する」ために何を行えばいいのでしょうか?

「リスクアペタイト」という言葉があります。これは「組織の目的や事業計画を達成するために、進んで受け入れるリスクの種類・量」を指します。同時に「リスクリミット…許容できる最大リスクの量(「リスクキャパシティ」とも言う)」と「リスクプロファイル…現時点で保有しているリスクの種類・量」という言葉があります。適切なリスクテイクのためにはこの3つの言葉を理解し、上手に活用することが重要になります。

① リスクリミットは「許容できる最大リスクの量」ですから、通常、リスクアペタイトやリスクプロファイルより小さくなることはありません。もしリスクプロファイルがリスクリミットを超えていたら大問題です。

② リスクアペタイトとリスクプロファイルの大きさを比較してみます。もし、リスクプロファイルよりリスクアペタイトの面積が小さければ、受け入れるリスクの種類・量<保有しているリスクの種類・量となるので、「リスクの低減」が必要になります。

③ リスクプロファイルよりリスクアペタイトの面積が大きい場合には、受け入れるリスクの種類・量>保有リスクの種類・量となるので「さらなるリスクテイクの余地あり」という判断になります(図3)。

写真を拡大 リスクアペタイト・リスクリミット・リスクプロファイルの関係図

 

適切なリスクテイクのためには、自社のリスクアペタイト、リスクリミット、リスクプロファイルがどのような状況にあるのかを理解することから始めてみるのも一考です。
また、積極的にリスクテイクするためには、リスクアペタイト>リスクプロファイルが必須になりますので、リスクプロファイルを小さくする活動(いわゆる「守りのリスクマネジメント」)が重要になるのは言うまでもありません。

今回のリスク:主に経営層・管理職が注意すべき戦略リスク

 

 

(了)