危険度が最も高いのは一類感染症

一類感染症に指定されている疾病は、原因となる病原体の感染力および病原性は最も高く、従って社会的にも危険度の最も高い感染症にランク付けされています。二類、三類、四類と少しずつ弱くなっていきます。
これらいずれかの感染症と診断された場合には、医師による最寄りの保健所などへの届出が義務付けられています。もし、一類もしくは二類感染症に分類される感染症と診断された場合には、医師は直ちに届け出る必要が生じます。三類感染症と診断した場合には7日以内に届け出なければなりません。とにかく、診断された患者の一刻も早い治療の開始と隔離による病原体の飛散防止(封じ込め)が非常に重要になります。

■一類感染症は現在、国内で発生なし
最も危険度の高い一類感染症は、現在、国内では発生していません。痘そう(天然痘)のみは過去に国内でも発生しましたが、すでに撲滅宣言が世界保健機構(WHO)から出されています。国内で未発生のエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルク病、ラッサ熱は、激烈な臨床症状と高い死亡率で、危険度の非常に高い感染症です。アフリカ大陸が初発地で、現在でもアフリカ大陸内での発生することがあり、病原体は未だ消滅していないと考えておく必要があります。
以上より、危険度の高い感染症の存在することが心配される国々に、居住もしくは滞在する必要が生じた場合、当該国の衛生状態を把握し、安全のためにあらかじめ取っておくべき感染症対策を認識して実行しておく必要があります。場合によっては、罹患する心配のある感染症予防のためのワクチン接種を受けておくことも考えねばなりません。そのためには、早めに最寄りの保健所、大学附属病院、総合病院、専門医院などで相談する必要があると思います。

■アジア、アフリカ、中東などでは二類感染症も
二類感染症も結核以外、国内では現在発生の報告は出ていません。しかし、アジア、アフリカ、中東など多くの地域で発生が続いており、危険度は高く、これら地域での罹患、国内へのこれら病原体の侵入が懸念されています。一類感染症対策と同等の備えが必要になると思われます。