その行為、「個の侵害」にあたる危険あり!

B子さんの行為は、親切心や友達感覚で行ったものだとしても、度が過ぎれば厚生労働省が提唱するパワハラの類型の一つである「個の侵害」にあたる場合があります。これはプライバシーの侵害という意味で、職場において、相手が望まないような個人的な質問を繰り返し、相手を困らせたり不快にさせたりすることを指します。質問する側にとっては単なる好奇心で、困らせるつもりなどなかったとしても、相手にとってはプレッシャーになりかねません。

職場の仲間は、家族や学校の友達とはまた違う存在です。質問する側は、自分が同じことを聞かれたらどう思うか、込み入った質問をしてもイヤだと思われないほどの仲なのか、また職場にふさわしい話題なのか、など、想像力を働かせなければなりません。

 

頼れる人に相談を

結局A子さんは悩みぬいた挙句、別部署のC先輩に相談し、B子さんにそれとなく伝えてもらうことにしました。C先輩は、B子さんよりさらに年上の女性で、会社の中でも一目置かれる存在です。

C先輩は「B子さん、あんまり後輩の暮らしぶりについて根掘り葉掘り聞いちゃダメよ。さびしい女だと思われるわよ!」と、冗談交じりに注意してくれたとのことで、効果はテキメン。その後、B子さんからの詮索攻撃はピタっと収まったそうです。よかったですね、A子さん。

こうした事態に直面した場合、大事にする前に、A子さんのように身近な味方を見つけて相談するのも一つの手でしょう。その味方が、加害者にとって「頭の上がらない人」であればベストです。

B子さんの行為に悪気がないであろうことは、誰でもわかります。しかし、A子さんを困惑させ、職場環境を乱す行為となってしまいました。職場環境は、職場で働くすべての人が作り出すものです。自分自身も環境の一部であるということを、常に忘れずにいたいものです。

(了)