2025/03/31
防災・危機管理ニュース
南海トラフ巨大地震の新たな被害想定は、2012~13年の前回公表時と比べると、最新の地形・地盤データの反映により津波の影響範囲が拡大した。避難行動が取れなくなる高さ30センチ以上の浸水域が最大となるケースでは、面積が11万ヘクタールを超え、前回より3割増加。地域ごとに数値が最悪となるケースを見ると、静岡、和歌山両県では最短2分で1メートルの津波が到達し、高知県では最大で34メートルに達する。最大震度7が想定される自治体は、前回の143市町村から149市町村に増えた。
海岸線など入り組んだ地形データも精密に取得できるようになり、浸水域が広がった。他のデータも更新され、地盤が弱いところでは揺れが大きく出る結果となった。最大震度6弱以上または津波高3メートル以上が予想されるのは、31都府県764市町村に上り、広域で被災する。
内閣府によると、30センチ以上浸水すると、車はエンジンが停止し扉が開かなくなったり、徒歩の移動も鈍ったりする。1メートル以上になるとほとんどの人が死亡し、3メートル以上では木造家屋がほぼ全壊する。
最大震度7が想定されるのは、静岡県から宮崎県までの沿岸地域が中心。震度6弱以上の揺れは、神奈川県から鹿児島県までの太平洋側の600市町村で発生する恐れがある。
国は、震度6弱以上の揺れか3メートル以上の津波が想定される市町村を基本に選定する「南海トラフ地震防災対策推進地域」(29都府県707市町村)のうち、30センチ以上の浸水が地震発生から30分以内に生じるなどとして、14都県139市町村を「津波避難対策特別強化地域」に指定。対象自治体は避難施設や防潮堤の整備を推進してきた。
〔写真説明〕内閣府=東京都千代田区
(ニュース提供元:時事通信社)

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