匿名での告発には全体への注意喚起を
事実確認は慌てず、信頼できる相談窓口も
日本リスクマネージャー&コンサルタント協会 理事、一般社団法人日本コンプライアンス推進協会委員/
株式会社プラネット 代表取締役
根岸 勢津子
根岸 勢津子
1962年千葉県生まれ。外資系海運会社、IT企業などで役員秘書を経験したあと、大手損保代理店に転職。企業リスクマネジメントを学ぶなか、産業界にヒューマンエラーによる不祥事が続発したことを受け、働く人の心の健康に着目。法人向けのメンタルヘルスケアに特化して事業を進め、2006年法人化。現在、クライアント企業は80社を超え、大手外食チェーン、医療福祉・介護業界、物流業など、様々な業種業態の企業に対して、社内規程づくりから教育研修にわたり幅広く指導。執筆・講演など多数。東京都千代田区在住。趣味は、夫と楽しむバイクでのツーリング。
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社長に悲痛な手紙
ここは、都心にある100名ほどの中小企業。主に歯科医院にいろいろな材料を販売する卸売業です。ある朝、社長のMさんが出社すると、デスクの中に見慣れない封筒が…。不審に思いながら開封すると、それは従業員からの悲痛な叫びでした。
「社長。こんな手紙で自分の状況を、しかも匿名でお話しするのは大変心苦しいのですが、いろいろ考えた結果、こうするしかないと判断しました。実は私は上司からひどいパワハラを受けています。会社に相談窓口があるのは知っていますが、誰に伝わるか分からないし、上司本人に相談したことがばれたら、今よりひどい目に遭うのではないかと恐ろしくてたまりません。パワハラの内容は、私の仕事ぶりが気に入らないのか、何をするにもケチをつけ、ひどいときにはみんなの前で怒鳴りつけられた挙句、提案書を投げつけられました。それから、長時間立たされたまま小言を言われたり、妻のことを悪く言ったりされました。また、休日や深夜にも仕事の件で電話やLINEをしてくるので、おちおち休めません。このままでは精神的におかしくなると思い、悩んだ末この手紙を書いています。どうか、この事態を解決してくださるよう、お願いします。もし改善が見られない場合は、労基署へ相談に行くつもりです」
社長は大変な衝撃を受け、すぐに総務部長を呼びました。総務部長は、全く心当たりがないと答えはしたものの、内心では「もしや営業の〇〇部長のことではないか…。彼は、売上はいいんだが部下に厳しいことで有名だ。彼の部署では、この1年で3人も新人が辞めてるし…。ともかく、労基署なんかに行かれたらそれこそ大変なことになってしまう。ここは何とかしなくては」と考えたのです。
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