負担を女性にばかり押し付ける社会の変革が必要です(出典:写真AC)

夫の会社の無理解で負担増

「えー、もう帰るの? あそっか、時短だもんね」同僚たちの冷たい視線の中、そそくさと荷物をまとめるA子さん(女性・35歳)。

ここは都内の上場企業の営業部門。A子さんはマーケティングチームで、市場分析などを担当しています。

A子さんは半年前に育休から復帰したばかり。会社の時短制度を利用して保育園の送り迎えをしています。夫は別の中堅企業で経理課の課長をしていますが、「男の育休などもってのほか!」という社風の中、子育ての負担はA子さんに。突然熱を出したりする子どものために早退したり、残業のときは保育園まで走ったり、大変な思いをして仕事と両立しています。

仕事には魅力とやりがいを感じており、さらに上を目指すため、子どもが寝てからマーケティングの勉強をしたり、次の昇進試験を受ける準備もしていました。しかし、妊娠中は協力的だった夫も、ここ最近は残業続き、昇進を前に上司との飲み会も断れないとのことで、家事は一気にA子さんに降り掛かってきました。

A子さんが勤める会社では、育児休業の制度を利用している人も少なくありませんが、A子さんは何となく戦力外という扱いを受けていると感じています。上司(男性)からは「あなたは、当分転勤は難しいでしょう」と勝手に決め付けられ、昇進試験も先延ばしにされてしまいました。新しい仕事に取り組みたいと手を挙げたときにも「勉強する時間がないのに大丈夫?」と言われ、チャンスをもらえなかったといいます。