(3)発生し易い地域や季節・時刻帯
①月別・時刻別
気象庁がまとめている「竜巻」および「竜巻またはダウンバースト」の観測統計を見ると、月別発生確認数では9~10月期の発生数が相対的に多くなっている。一方、時刻別発生確認数では昼間(09:00~18:00)に集中しており、相対的に夜間の発生数は少ない。

②地域性
下図は、気象庁がまとめている「竜巻」および「竜巻またはダウンバースト」のうち、発生時の緯度経度が把握できているものを示した分布図である。日本海沿岸全般や関東より西の太平洋岸で多くの突風現象が発生しているが、特に関東地方では海岸から離れた地点でも比較的多く発生していることがわかる。

3.竜巻などの激しい突風に関する気象情報について


 竜巻などの激しい突風は発現時間が短く極めて小規模な現象のため、観測や予測が難しい。しかし、情報の精度及び利用上の留意点を理解した活用方法が広がれば、より多くの人の命を救うことができる。そこで、気象庁は「予告的な気象情報」、「雷注意報」、「竜巻注意情報」および「竜巻発生確度ナウキャスト」と、4つの形態で気象情報を発表している。それぞれの説明と対応は以下の通りである。

(1)予告的な気象情報
発達した低気圧などにより災害に結びつく気象現象が予想される場合、半日~1日程度前に予告的な気象情報が発表される。このとき、竜巻などの激しい突風の発生が予想される場合には、「竜巻などの激しい突風に注意」という言葉を用いて特段の注意を呼びかける。

【予告的な気象情報が発表されたら】
・半日~1日後には積乱雲が発達しやすい気象状況になり、落雷や雹、急な強い雨に加えて、竜巻などの激しい突風が発生する可能性があることも認識する。
・行動計画の点検、もしもの場合に備えた危険回避行動策の検討などを行う。
・今後の気象情報(雷注意報など)に注意する。

(2)雷注意報
雷注意報は積乱雲に伴う激しい現象(落雷、雹、急な強い雨、突風など)の発生により被害が予想される数時間前に発表される。このとき、竜巻などの激しい突風の発生が予想される場合には、注意報本文の付加事項に「竜巻」と明記して特段の注意を呼びかける。

【雷注意報が発表されたら】
・発達した積乱雲により、落雷や雹、急な強い雨に加えて、竜巻などの激しい突風が発生する可能性がある時間帯が近づいていることを認識する。
・安全確保に時間を要するような行動計画などについては、もしもの場合に備えた危険回避行動策の確認などを行う。
・周辺の気象状況の変化や今後の気象情報(竜巻注意情報、竜巻発生確度ナウキャストなど)に注意する。

(3)竜巻注意情報
竜巻注意情報は、雷注意報を補足する情報として、積乱雲の下で発生する竜巻、ダウンバースト等による激しい突風に対して注意を呼びかける情報である。竜巻発生確度ナウキャストで、20分後までの予測に発生確度2の場所が出ると予測される都道府県を対象に発表している。なお、竜巻などの激しい突風の発生しやすい状況は長時間継続しないことが多いことから、竜巻注意情報では発表から1時間の有効期間を設けている。有効時間を過ぎても危険な気象状況が継続する場合は、再度発表される。