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また表1は、2003年3月12日にWHOが原因不明の肺炎について警告を発してから、7月5日に「制圧宣言」を行うまでのWHO及び日本政府が発出した渡航勧告等の概要である。

SARSウイルス感染拡大への対応では、感染者数の増加にしたがって、次々と発生国への渡航延期勧告等が発出されるとともに、感染者の隔離や、入国/出国時の健康状態チェック、感染・治療の医療情報の国際的な情報共有等、WHOを中心に各国政府の協力・連携による対策が講じられ、7月5日にはWHOの「制圧宣言」が発出され、終息に至った。

※2 データの問題から感染が確認できない、2,527の感染疑い例を除く。

(2)想定すべき事態
WHOは、MERS(マーズ)コロナウイルスについて、人から人への感染の可能性があることなどから、今後、感染が拡大する懸念を示している。特に、ラマダン(7月9日~8月7日)期間の小巡礼でメッカへの巡礼者が増加する6月下旬~8月や、万人以上がメッカに集う10月の大巡礼の期間には200感染拡大への注意が必要とされる。

感染力の違いなどにより、MERS(マーズ)コロナウイルスの感染拡大が必ずしもSARSの流行と同様の経緯をたどるとは限らない。しかし万一の事態を考えれば、SARSの流行と同様に急速に感染が拡大し、また発生国に対し次々と渡航延期勧告等が出されていく事態も想定する必要がある。

またSARSは日本国内での発生事例がなかったために、日本への影響は限定的であったが、今回、感染患者が確認されている中東地域及び欧州からの帰国者などを通じて、MERS(マーズ)コロナウイルスが日本国内に持ち込まれる可能性も否定できない。