2022/12/26
企業をむしばむリスクとその対策
ホワイトペーパーに記されている通り、日本では現状、法的な整備が追い付いていない現実があります。また、Web3.0関連のサービスは日本語では利用できない場合も多く、知識が乏しい人にとっては、まだまだ使いにくいのが現状です。ブロックチェーンを利用する場合には、ブロックチェーンでの行動(トランザクション)時に手数料が発生し、かつ、その手数料も大幅に変動する仕組みになっていて、場合によっては1つの取引に1万円以上の手数料を請求されることがあったりします。さらには、仮想通貨のウォレットを怪しいサイトに接続させ、資金をだまし取ろうとする詐欺行為が散見されたりもしています。
このようなことから、二の足を踏む気持ちがあるのも理解できます。また、前回の事例にあるように建設業や製造業など「現実のモノ」を作る企業にとっては全く関係ないもの、との考えもわからなくもありません。しかしながら、そうとも言っていられないほど、これまでとは世の中が変わってしまう可能性があり得るのです。
先ほどの「NFTホワイトペーパー」がきっかけとなり、自民党のデジタル社会推進本部はデジタル施策に対する具体的な提言「デジタル・ニッポン 2022」を発表。人材の流出につながりかねない日本の抱える税制課題などを明確にしました。そしてその提言を受けて日本政府は、Web3.0の環境整備を本格化する骨太方針を6月に閣議決定。NFTやDAO(注1)利用等のWeb3.0推進に向けた、環境整備の検討を進める方針を明言したのでした。
(注1)…Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語にすると「分散型自律組織」の意味。ブロックチェーン技術を用いた組織運営のユースケースの1つで、経営者のような中央管理者が存在せず、コミュニティによって運営され、トークンを保有するすべての参加者が意思決定に参加できる組織のこと
このような動きに伴って、金融庁と経済産業省は企業が自社で発行・保有する仮想通貨に対する課税方法を見直す方針を表明しました。また、関係省庁もそれぞれ、ブロックチェーンを基盤としたWeb3.0に関連する事業環境課題の検討、体制強化を掲げています。
今後、Web3.0関連の税制改革や会計基準の見直し等が進めば、世の中が一気に変革する可能性があります。そして、政府がWeb3.0の推進を決め、各省庁が具体的に動き始めている現実がある以上、その流れは間違いなく加速するはずです。しかも、そう遠くはない時期だと思われます。
Web3.0やNFTについてすべての企業が今すぐに対応すべき事柄は無いかもしれません。とはいっても全く無関係であるとは言えなくなるほどの変革が起きる可能性も大いに考えられます。
食わず嫌いにならず、その仕組みを理解し、自社の戦略に取り入れられるものを敏感に察知できるように準備しておくことが、業種に関わらずにやらなくてはならないことだと思われます。
参考文献:
・ 「NFTホワイトペーパー(案)」WEB3.0プロジェクトチーム(旧 NFT制作PT):2022年3月
・ 「デジタル・ニッポン 2022~デジタルによる新しい資本主義への挑戦~」自由民主党 政務調査会デジタル社会推進本部:2022年4月
今回のテーマ:戦略リスク、経営者・管理職
- keyword
- リスクマネジメント
企業をむしばむリスクとその対策の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方