写真を拡大 首都圏ゼロメートル地域の標高。高潮で埼玉県東部まで水没の危険性がある(提供:土屋氏)

行政区域越えた広域避難計画を

内閣府と東京都では「首都圏における大規模水害広域避難検討会」を発足。埼玉県、千葉県の近隣県や特別区、交通機関も参加し、東京東部を中心とした大規模洪水への備えについて6月1日に第1回会合を開催した。東京東部の墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の東京都の江東5区で1947年のカスリーン台風の規模の大規模洪水が起こった場合、人口255万人のうち最大178万人が域外避難の必要があるとされている。今後、広域避難について移動や受け入れ先についての具体化を進めていく。

土屋氏は江戸川区で土木部長も歴任。同区の場合、水没せず全ての階が使える学校は106校中21校しかない。また高層マンションも少なく、通常の域内避難で収容できるのは人口約68万人中37万人分しかない。いざとなれば国府台台地と大島小松川公園に約20万人ずつ、かさ上げされている葛西南部に約27万人が避難し、ここからさらに遠くに避難をするという方針。178万人も江東5区で避難が必要という事態となれば、単独区のみの対応は困難。早急な対策を進める必要があり、内閣府と東京都などの検討会の行方が注目される。災害対策基本法で避難勧告や命令は区市町村長が出すことになっているが、「情報が少ないと判断しにくい。気象情報で洪水や高潮の予測はある程度つくので、態勢を整え避難行動をとれるようにする必要がある」とした。