第154回:米国における自然現象に対する各郡ごとの災害リスク指数
FEMA / The National Risk Index
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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今回は米国のFEMA(連邦緊急事態管理庁)が公開しているNational Risk Indexを紹介させていただく。これは直訳すれば「全国リスク指数」ということになると思われるが、米国における自然現象(natural hazards)によるリスクの大きさを、郡(county)ごとに色分けで示したものである。
本連載はタイトルでもうたっている通り、レジリエンスに関する「調査研究」を対象としているので、政府から公開されているデータを扱うのは意外に感じられるかもしれない。しかし筆者が本件を紹介させていただこうと思ったのは、このリスク指数の計算には多くの調査結果や研究成果が活用されているからである(詳しくは後述)。
このNational Risk Indexはウェブアプリケーションとして公開されており、下記URLからアクセスできる(スマートフォンからも利用可)。
https://hazards.fema.gov/nri/map
National Risk Indexの開発には、政府機関や国連関連の組織、大学や研究機関などを中心とした71の組織が関わっている。これらの組織のリストは次のURLで公開されており、個々の組織がどのようなデータあるいは知見を提供したかが記載されている。
https://hazards.fema.gov/nri/contributors
このサイトで表示されているNational Risk Indexは、次の3つの要素から図1のように算出されている。
(a) 予想年間損失(Expected Annual Loss)
自然現象によって1年間に発生すると見積もられている経済損失
(b) 社会の脆弱(ぜいじゃく)性(Social Vulnerability)
その地域社会における、自然現象からの影響に対する感受性(影響の受けやすさ)
(c) コミュニティーのレジリエンス(Community Resilience)
そのコミュニティーにおいて、予想される自然現象に対して備え、状況変化に対応し、災害から早期に立ち直り、復旧する能力
これらのうち(b)と(c)は、サウスカロライナ大学のHazards and Vulnerability Research Instituteの研究成果が活用されている(注2)。
また、(a) の予想年間損失については、次の18種類の自然現象を対象として、自然現象によって経済的損失を受ける可能性のある人口、建造物や農地の価値、およびこれらが自然現象の影響を受ける割合、自然現象の平均的な年間発生頻度を掛け合わせて、地域ごとに算出されている。
Avalanche(雪崩)/Coastal Flooding(沿岸洪水)/Cold Wave(寒波)/Drought(干ばつ)/Earthquake(地震)/Hail(ひょう)/Heat Wave(熱波)/Hurricane(ハリケーン)/Ice Storm(氷雨を伴う暴風)/Landslide(地滑り)/Lightning(落雷)/Riverine Flooding(河川洪水)/Strong Wind(強風)/Tornado(竜巻)/Tsunami(津波)/Volcanic Activity(火山活動)/Wildfire(山火事)/Winter Weather(雪やみぞれなどを伴う暴風)(注2)
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