新型感染症に対する特措法の流れ
特措法では、インフルエンザなどの感染症対策について、「未発生期」「海外発生期」「国内発生早期」「国内感染期」「小康期」などの段階に分けて対策を講じている(図2)。

海外発生期…海外で新型インフルエンザなどの感染症が発生し、国内で患者が発生していない時期。内閣総理大臣をトップとする政府対策本部が設置され、同時に都道府県でも知事をトップとする都道府県対策本部を設置することが義務付けられる(図3)。政府対策本部は「基本対処方針」を公示し、国内への侵入を防ぐために水際対策(検疫強化)を実施するほか、発生国からの帰国者のうち、感染の疑いのある患者に対し、停留や隔離などの措置を取る。国内発生早期…国内で感染患者が発生した場合、感染拡大のスピードを遅延させ、感染のピーク時の患者数を抑制することを目指す。感染ピークを抑えることで、患者が適切に治療を受けることができれば、日本の医療水準であれば重症者や死亡者を一定に抑えることが可能だ。

国内感染期…国内で発生した感染症の病原体が致死率が高いなど病原性が高いものであった場合、国内発生早期の段階で「緊急事態宣言」が政府から発令される。学校の休校や外出自粛のほか、施設使用制限などの緊急措置が講じられる(図4)。措置の期間は1〜2週間が目安とされている。レベルが弱かった場合は、マスク着用や咳エチケットなどの公衆衛生対策がとられることになる。