4. 男性の育児休業取得促進のポイント

日本労働組合総連合会が実施した「男性の育児等家庭的責任に関する意識調査2020」では、育児休業を取得できなかった理由または取得しなかった理由について、「仕事の代替要員がいない」が44.4%と最も高く、「収入が減る」「取得できる雰囲気がない」「取得するものではないと思う」「仕事のキャリアにブランクができる」と続きます。

中小企業では、限られた人員で業務を担っているケースが少なくありません。だからといって、代替要員がいないことや業務が滞ることを理由に育児休業の取得を拒むことはできません。また、育児休業の申請を拒否したり、取得したことを理由に不利益な取り扱いをしたりすることは、男女雇用機会均等法や育児介護休業法が禁止する「マタニティーハラスメント」に当たります。企業としては、男性の育児休業の取得が進まない原因を理解した上で、課題解決に向けた措置を講じることが必要とされます。
 
男性の育児休業取得促進に向けた具体的な取り組みとしては、主に次の事項が挙げられます。

(1)育児休業制度について周知する
育児休業制度について理解していない労働者は少なくないため、まずは自社の育児休業制度を従業員に周知する必要があります。育児休業の取得を推進するポスターを掲示したり、社内報で育児休業の活用事例を紹介したりすることも周知を図る上で有効です。

(2)相談窓口などを設置する
育児休業の取得については、具体的事情に基づいて検討する必要があることから、希望者が個別に相談できる窓口を設置するのも一案です。

(3)業務マニュアルを作成する
業務マニュアルを作成して、業務の引き継ぎをスムーズに行える体制を整えることは、育児休業の取得率を上げるだけなく、業務効率の向上にもつながります。

なお、育児休業取得促進については、厚生労働省の「両立支援等助成金制度」や東京しごと財団の「働くパパママ育休取得応援奨励金」などがあるので、こうした制度を積極的に活用するとよいでしょう。