「2025年問題」
10年先を見据えた高年齢者雇用の見直し
労働者不足の解消策
![毎熊 典子](/mwimgs/4/c/-/img_4cec315b3e7b48a54d3e008c72d16841639524.jpg)
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2025/02/14
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2025年は、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になる年です。超高齢社会の訪れにより懸念されるのは、社会保障費の負担増加や医療・介護体制の維持困難、労働力不足などの「2025年問題」です。団塊ジュニア世代が65歳を超え始める2040年以降は、更なる悪化が想定されます。企業は深刻な労働力不足を解消するため、定年制度の見直しや再雇用の待遇改善に動き出しています。
定年制度の見直しや定年後の再雇用での待遇を改善する動きは、すでに数字に表れています。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の、65歳までの雇用を目的とした高年齢者雇用確保措置から見ていきましょう。企業はこの措置として「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかが義務づけられています。
厚生労働省の令和6年「高年齢者雇用状況等報告」によると、高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業の割合は99.9%におよびます。その内訳は「定年制の廃止」が3.9%、「定年の引上げ」が28.7%、「継続雇用制度の導入が67.4%となっています。また、定年を65歳以上に設定している企業(定年制の廃止を含む)は32.6%で、70歳までの就業確保が目的である高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は31.9%でした。
また、内閣府の「令和6年度年次経済財政報告」によると、定年前後の賃金比較で「ほぼ同程度」が15%、「8から9割程度」が24%、「6から7割程度」が45%、「4から5割程度」は6%となっており、特に人手不足感が高く、年齢構成のばらつきが拡大した業種では、再雇用時の賃金低下幅が縮小しているとの分析が示されています。
これらの資料から、知識と経験を有する高年齢者の活用を図る企業が増えていることがわかります。
高年齢者就業確保措置
高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保を目的とした高年齢者雇用確保措置に加えて、70歳までの就業機会確保を目的に、努力義務として先にあげた高年齢者就業確保措置を課しています。以下がその内容です。
原則、全希望者を雇用
高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入している企業では、定年後の勤務を希望した社員全員を雇用し続ける必要があります。しかし例外があり、2021年度までの労使協定により継続雇用制度の対象を限定する基準を定めた場合は、2025年3月31日までその基準での運用が認められています。2025年4月からは経過措置の終了により、原則として、希望者全員の雇用が必要となります。
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