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今国会に提出され、2021年6月3日に成立した「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」(以下「改正法」といいます。)では、妻の産後鬱を支えるために産後8週間以内の男性の産休の取得を促すほか、大企業に対する男性の育休取得率の公表義務化などについて定めています。そこで、改正法の概要および社内において男性の育児休業制度を浸透させるためのポイントについて解説します。

1. 法改正の背景

現行の育児・介護休業法では、子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2カ月に達するまでの1年間、労働者の申し出により育児休業の取得が可能としています。また、産後8週間以内の期間に育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても、申し出により2回目の育児休業を取得することができます。

しかし男性の育児休業取得率は、令和元年度において7.48%と、平成30年度の6.16%と比較すると上昇してはいるものの、いまだ低い水準にとどまっています。その一方で育児休業制度の利用を希望していたができなかった者の割合は4割となっていて、男性の育児休業取得の希望が十分にかなえられていない状況にあります。

男性の育児休業取得を促進することは、仕事と家庭の両立を望む男性の希望をかなえるだけでなく、第一子出産後に約5割の女性が出産・育児によって退職している現状において、女性の雇用継続にも資するものといえます。また、男性が子の出産直後に休業を取得して育児・家事に関わり、その後の育児・家事への主体的参加につなげることは、夫婦が希望する数の子を持つことにも資すると考えられ、男女問わずワークライフバランスのとれた働き方ができる職場環境の実現が期待できます。