2020/05/21
危機発生時における広報の鉄則
(3)リカバリーコミュニケーション
リカバリーコミュニケーションは、ダメージからの回復を目的としたコミュニケーション活動をいいます。危機発生時には、企業活動はダメ―ジを受けていますから、営業停止、広告停止などによって通常の活動ができません。今回のコロナでも、休業要請でお店の営業ができない企業が多く発生しました。
緊急事態宣言が解除された県は、これから回復期に入ります。災害であれば復興になりますが、今回のコロナについては、ワクチンがないこと、感染力が高いことから、解除後もリスクを伴ったままになります。これは今まで人類が経験したことのないようなリカバリーコミュニケーションになります。一体どういうものになるのでしょうか。
自社のリスク対策を表現する
リカバリーコミュニケーションは、通常に戻すための活動ですから、勢いが必要です。災害であれば復興キャンペーンをするのでしょうが、今回のコロナに限って言えば、大々的なキャンペーンは打ちにくい。「大丈夫です」とはっきり言えないからです。
解除後は「私たちはこのようにリスク対策をしています」といったメッセージを出すことが、リカバリーコミュニケーションになるのだろうと思います。お店であれば非接触の検温、消毒剤の設置など、緊急時に営業を継続してきたスーパー等の試みは参考になりそうです。
またお客様向けだけではなく、社員の健康を守るメッセージも忘れず発信しましょう。その際注意してほしいのは「守りたいと思います」といったあいまいな言葉ではなく「守ります」「信じています」「一緒にやりましょう」と言い切ること。そして動画撮影の場合には、必ず「練習」してください。
5月14日、安倍総理は39県の緊急事態宣言の解除について記者会見を行いました。力強さに欠けるのはなぜだろうと何度か動画をチェックしたのですが、言葉の後ろが伸びてしまうからだろうとの結論に至りました。
「さらにはー」「措置などー」です。これは安倍総理に限らず、一般的によくある傾向です。練習しないと語尾を押しすぎる、語尾が消えてしまって聞き取りにくい、ということになります。改善には練習が必要ですが、必ず成果は出ます。
自社のリスク対策について表明することを競い合う、そんな新たな世界になることが楽しみです。
- keyword
- 危機管理
- 広報
- リカバリーコミュニケーション
- 緊急事態宣言
危機発生時における広報の鉄則の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方