手話指文字なら手話より簡単、短い会話が可能になる

手話指文字は遅くとも半日あれば覚えられて、最低限度の会話ができます。健聴者(聞こえる人)と聴覚障害者=ろう者(以下「ろう者」という)が手話で日常会話レベルに到達するまで少なくとも1年以上かかるでしょう。

実は手話は、両手の動きだけではありません。顔の表情や体の向きなどに加え、口形(口の動き)でも情報を補っていますので、覚えるのに時間がかかってしまいます。ちなみに新型コロナウイルスの記者会見でも手話通訳者がマスクを付けないでいるのは、口形が見えなくなってしまうからです。

それにひきかえ手話指文字のメリットは、手話指文字の動画と手話指文字表を見て、早ければ1時間以内で覚えることができることです。心配であれば、手話指文字は片手で表現できるので、もう片方で手話指文字表を見ながらお互い会話をします。

ただし、手話指文字で一字一字ずつ表現するので、長い会話であればお互い疲れてしまいます。あくまでも短い会話と考えています。かえってシンプルだからこそ相手に伝わりやすいのです。

デメリットは、はし(橋)とはし(箸)、かわ(川)とかわ(皮)のような場合です。手話であれば全て表現方法はありますが、手話指文字だと一字一字ずつ表現するので全く同じ表現方法になります。

他にも、手話指文字の「く」は、数字の「9」、「し」は、数字の「7」、「む」は、数字の「6」と、全く同じ表現方法です。

しかし、前後の会話の流れでどちらの方を言いたいのかは予測がつきます。私も実際に試してみて、短い会話であれば十分コミュニケーションが取れました。

手話指文字で会話していくうちに、ろう者から「食べる」「使う」など簡単な手話を教えてくれるので、そのうち手話指文字と簡単な手話になります。手話指文字を知っていれば、何とかろう者と会話できることがご理解いただけたと思います。それをもとに「感染症対策」を説明したいと思います。

逆転の発想! 手話指文字で感染症対策

新型コロナウイルスは、飛沫感染と接触感染によりうつるといわれています。前述の手話指文字を健聴者とろう者の会話だけでなく、新型コロナウイルスなどの感染症対策(ソーシャルディスタンス)として使えるのではないかと思い、ご提案します。

1. 飛沫感染防止編

「健聴者とろう者」に限らず、「医師、看護師、医療従事者と患者」「健聴者と健聴者」とのコミュニケーションを想定しています。

前述で説明した通り、お互いに手話指文字で一字一字ずつ表現します。お互い話をしないので、当然、飛沫感染は起こりません。

本来は手話指文字でも同時に口話をしますが、手話指文字の表現と口話は全く同じ表現になるので、マスクをして口話が見えなくても問題はないと考えられます。

※マスクを外すとせき、くしゃみ、口話のときでも飛沫が飛ぶので、あえて手話指文字だけとします。

2. 接触感染編

健聴者とろう者がコミュニケーション取る場合、分かれば手話ですし、分からないと筆談になります。

筆談だと「ホワイトボードとペン」または「紙とボールペン」を使って、お互いに文字を書いて意思を伝え合うので、接触感染の可能性があります。

筆談を繰り返すたびに筆談具の消毒という方法もありますが、筆談する人も筆談を繰り返すたびに手洗いまたは手指消毒するので、肌の弱い方は手荒れやアルコールアレルギーが心配な方もいらっしゃいます。

手話指文字でお互いにコミュニケーションを取れば、接触感染は起こりません。

3. 複合災害対策編

他には、地震、台風、大雨などによる災害で避難所に手話通訳者がいない場合や避難所での感染症対策にもなります。

手話指文字でのコミュニケーション方法は、いろいろと応用が利くことが分かっていただけたと思っています。皆さんで「手話指文字」を普及させませんか?

ピクトグラムアーティストの藤代洋行が、文字と手話指文字と点字に関する表示体について実用新案権を取得しました。
「表示体」として、視覚障害者・聴覚障害者と健常者のコミュニケーションや情報伝達を図るためのツールとして手話指文字・点字シリーズを開発しています。

特許調査会社 株式会社国際技術開発センター様の特許収録セットに「表示体」が収録されました。
表示体=手話指文字・点字シリーズは幅広く登録していますので「防災グッズと使用方法」の方で収録されたのが見どころです。
http://www.itdc-patent.com/setlist/No11050.htm