前回(横断歩道橋の問題点)は、歩行者が危ないので、横断歩道橋、商店街のアーケード内などの通行は、自転車等はおりて通ってほしい願いを記事とピクトグラムアートの作品で表現しました。

その後、冒頭の写真の横断歩道橋をいろいろな方に見せたところ、手動車いすに乗っている方から「ここにエレベーターはありますか? なければこの坂は車いすで上り下りすることが危険です」とのご意見をいただきました。ちなみに、この横断歩道橋にはエレベーターはありません。

横断歩道橋を管轄する出張所に「勾配」と、勾配の「法的根拠」を確認しました。出張所長の回答によれば、勾配は12%以内。法的根拠は、昭和54年1月立体横断施設技術基準・同解説に準じているとのことでした。

この回答を基に、ピクトグラムアートのデザイナー石倉京氏に「勾配の基準」と「横断歩道橋を横から見た図」の作成をお願いしましたのでご覧ください。

 

気付いたことは、建築基準法とバリアフリー法、立体横断施設技術基準・同解説で、勾配の基準が違うということです。

1. 建築基準法 建築基準法施行令第26条

勾配は「1/8をこえないこと」。1/8とは、高さ1メートルを8メートルかけて上り下りすること。角度でいうと7.13°になります。

2. バリアフリー法

分かりやすいように「バリアフリー法」と表記しましたが、正式名称は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」です。さらにバリアフリー化の基準には、「建築物移動等円滑化基準」と「建築物移動等円滑化誘導基準」があります。

① 建築物移動等円滑化基準(最低限のレベル)
勾配は「1/12以下」。1/12とは、高さ1メートルを12メートルかけて上り下りすること。角度でいうと4.76°になります。

② 建築物移動等円滑化誘導基準(望ましいレベル)
勾配は「1/12以下、屋外は1/15以下」。1/12とは、前述のとおり(勾配の基準の図は省略しています)。1/15とは、高さ1メートルを15メートルかけて上り下りすること。角度でいうと3.81°になります。

詳しくバリアフリー法のことを知りたい場合は、「国土交通省 バリアフリー法」をご覧ください。
国土交通省 バリアフリー法

3. 立体横断施設技術基準・同解説

勾配は「12%以内」。12%=1/8.33とは、高さ1メートルを8.33メートルかけて上り下りすること。角度でいうと6.84°になります。横断歩道橋が昭和63年に完成したので法的根拠は、昭和54年1月立体横断施設技術基準・同解説とのことです。

今回は、「勾配」だけに絞っているので、材料、踊り場、手すり、点状ブロックなどは省略しています。図を見て、角度が小さければ小さいほど緩やかな坂道になると思っていただければ、分かりやすいと思います。そうすると、反対は急な坂道になりますよね。

それでは、「横断歩道橋を横から見た図」をご覧ください。