ハラスメントへの注目が加速、最悪な状況も想定
第13回 元社員が突然記者会見をしたら?
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授/
広報コンサルタント
石川 慶子
石川 慶子
東京都生まれ。東京女子大学卒。参議院事務局勤務後、1987年より映像制作プロダクションにて、劇場映画やテレビ番組の制作に携わる。1995年から広報PR会社。2003年有限会社シンを設立。危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。企業・官公庁・非営利団体に対し、平時・緊急時の戦略的広報の立案やメディアトレーニング、危機管理マニュアル作成、広報人材育成、外見リスクマネジメント等のコンサルティングを提供。講演活動やマスメディアでのコメント多数。国交省整備局幹部研修、警察監察官研修10年以上実施。広報リスクマネジメント研究会主宰。2024年より社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授。
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ある日、あなたの会社の元社員が突然「会社から〇〇のハラスメントを受けた」として記者会見。これを受けメディアからの問い合わせが会社に殺到。どう対応したらよいでしょうか。これは私が最近、訓練のシナリオにしている内容です。具体的に考えてみましょう。
原則として記者会見には記者会見で
問題発生時のコメントはどこから出すのか、悩みどころではあります。基本は起きた場所。ネットならネットで、工場火災なら工場で。現場から遠くなると、それだけずれてしまうからです。
具体的に言うと、会社のブログが炎上した際には会社ブログでコメントします。元社員のコメントがネットで炎上している場合には、会社サイトで公式コメントを出します。
では、相手が記者会見をしてしまったらどうなのか。それも原則からすると、記者会見となります。少なくとも記者会見をする覚悟で準備をする必要があります。あとはタイミングや中身のメッセージの組み立てが、その後を決めます。
ここで単純に、元社員と敵対するメッセージを発信してしまうと、今の社員が不安になってしまいます。ありがちな失敗が、根拠を示さないまま感情的に「会社に問題はない」「法的問題はない」「問題社員だった」と強気のコメントを出してしまうこと。仮に事実であっても、事情をよく知らない一般の人からすると「社員に冷たい会社」と見えてしまいます。採用にも影響してしまうでしょう。
では、どのようなコメントをしたらいいのでしょうか。発生した事案によって異なりますので詳しくは書きませんが、ヒントだけ書きます。
自分たちの「どこが批判を浴びたのか」を観察します。そして、自分たちの本当の気持ちに向き合って言葉を探せば、必ず適切な言葉は見出せます。現役社員も見ていることを考慮し、対立姿勢にすべきか、そうではないかたち、例えば「残念だ」といった言葉にするか。言葉が見つかるまで、とことん問題を考えてほしいと思います。
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