警視庁公安部は1日、組織に属さず単独でテロを実行する「ローンオフェンダー」(LO)を専門で捜査する「公安3課」を発足させた。全国初の取り組みで、情報収集やLO対策の体制を強化し、要人を狙ったテロや凶悪事件の未然防止につなげる。
 迫田裕治警視総監は同日、警視庁本部で行われた発足式に出席。今年は大阪・関西万博や参院選が控えていることを踏まえ、「LO対策を徹底していく必要がある。国や社会の安全を守るという強い信念を胸に、与えられた使命と責任を果たすことを期待する」と訓示した。
 LOを巡っては、安倍晋三元首相や岸田文雄前首相が手製の銃や爆発物で襲撃されたほか、昨年10月には首相官邸前に車が突入するなど、要人や重要施設を狙った事件が相次ぎ発生。一方、計画から実行までを1人で行うため動向把握が困難で、事件の前兆をつかみにくいとされる。
 新組織となる公安3課では、LOに関する情報収集、対策、捜査を一括して担う。刑事事件の捜査や巡回連絡などを通じ、他の部門が集めた不審者についての情報や、爆発物や危険物の原材料の購入に関する情報も集約させ、犯罪の前兆となり得る情報の早期把握に努める。サイバーパトロールを通じ、SNS上の不審な投稿への警戒も強化する。 
〔写真説明〕警視庁公安3課の発足式で訓示する迫田裕治警視総監=1日午前、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)