日本へのウイルス侵入を防止するために

ASFウイルスの国内への侵入を一度許してしまうと、ウイルスの完全消滅は極めて難しく、国内の養豚産業界が壊滅的打撃を被る結果となり、国産豚肉が市場から消えてしまう恐れが出てきます。健全な食生活に重大な支障を来すことになります。

農林水産省をはじめとする国内関係行政機関では、2018年10月31日に一部改定した「アフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」を基本とする防疫対策をとっていますが、厳戒態勢を敷いています。特に、ASFウイルス国内侵入防止を目的とする水際作戦を強化しています。なぜならば、2018年10月以降、国際海空港の動物検疫で、国外からの観光客の荷物の中で見つかったソーセージなどの加工肉70例以上からASFウイルス遺伝子が検出され、そのうちの20例以上から感染性を持つASFウイルスが分離されているのです。動物検疫所では、検疫犬を増やして検疫を強化しています。

ASFウイルスは世界に広く分布しています(図4)。

ASFウイルス汚染地域に旅行などで訪問した場合、ウイルスを国内に持ち込むことのないように細心の注意を払うことが求められます。

(了)