2019/09/26
昆正和のBCP研究室
■「恣意的な被害想定を書く」についての考察
【被害想定】 地震の衝撃でサーバー5台のうち2台が破損。従業員の出社率は被災翌日で20%、3日目で50%、5日目で80%とする。携帯電話は2日目から安否確認に使用できるものとする…。
BCPの中にこのような記述をしている被害想定をしばしば見かける。かなり具体的で分かりやすい想定である。これらの客観的な数字が当てになるものならば、被害を最小化するためのプロアクティブで効果的な対策を導くことができるだろう。
しかし、こうした恣意的な想定に基づく対策や復旧の段取りが予定調和的に扱われてしまう危険性はないだろうか。1+1=2になるような被害想定や対策はエレガントではあるが、現実には筋書き通りにはいかないことの方が多い。サーバー2台どころか5台とも使えない、3日経っても一部の従業員としか連絡がとれない。本社建物に立入りできない(いずれも大規模災害では十分起こり得る)。
もしこのような事態が起これば、会社は「これは想定外の事態だ、BCPの限界だ」と騒ぐだろう。あまりに被害想定が鮮明すぎると、BCPの方針・対策・手順はその範囲に縛られてしまい、木を見て森を見ないBCPになってしまう可能性がある。
昆正和のBCP研究室の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方