第24回:安否確認のポイント
伝達の「対象」「状況」「手段」は多岐に渡る
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■「だれを対象」に「どこまでの範囲」を指すのか?
安否確認は、災害が発生した際に「利害関係者」が無事であるかどうかを確認したり、出社、帰社、移動の可否を尋ねたりするための作業である。「利害関係者」とは、家族・社員・顧客などさまざまであり、また安否確認先として考慮する対象も多岐にわたっている。そうした安否確認の種類と特徴について考えてみよう。
【家族】真っ先に安否を知りたいのは家族である。ただし、ここには一筋縄ではいかないさまざまなシチュエーションがある。例えば子供が幼稚園や保育園に通っている場合、高齢の親が介護施設に入所している場合、各施設に確認することになる。入院中の家族がいれば病院への確認が必要である。
家族が地震発生時にどのような活動状況にあるかで、複数の問い合わせ先に安否確認をしなければならなくなる。
【社員】社員本人についても、発災時にどこにいる(可能性がある)かによって、安否確認先が複数になる。外出・出張中の社員なら、会社からそれほど遠くないエリアにいる場合、国内の遠方に出張中の場合、海外に出張中の場合などさまざまな状況が想定される。社内にいるはずなのに見当たらない、連絡がとれないといったこともしばしば起こる。
【訪問客】百貨店やデパート、スーパー、ディスカウントストア、そしてホテルその他の集客性のある施設などでは、営業時間中に災害が発生すれば、避難誘導とワンセットで顧客の安否を確認することが求められる。ホテルなどは宿泊客のリストが完備されているから安否確認は比較的容易だろう。
しかし、不特定多数の人が入り乱れるいわゆる「買い物客」の場合は、安否確認のハードルは限りなく高くなる。店内に逃げ遅れた人がいないかどうか声掛けをするのが精一杯かもしれない。
なお、打ち合わせやプレゼンテーションなどで自社にやってきた他企業からの「来訪者」については、面会に応じた社員が責任を持ってその人たちの安否をフォローすることが肝要である。
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