第14回:被害想定はどこまで書けば現実的か
方針・対策・手順に反映させられるものを
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
昆 正和 の記事をもっとみる >
X閉じる
この機能はリスク対策.PRO限定です。
- クリップ記事やフォロー連載は、マイページでチェック!
- あなただけのマイページが作れます。
■BCPの「被害想定」とは何か?
一般に、危機の未然防止やリスクマネジメントに着手しようとしたら、どんな災害、どんなリスク、どんな危機にさらされうるのかを明らかにしなければならない。ここがはっきりしないと、その後の緊急対応方針や解決策(対策)、行動手順が決まらないからである。
BCPにおいては、基本的な方向付けの要素として「災害の種類」とその災害によって自社が被るかもしれない「被害想定」を定義することになっている。「災害の種類」については前回(第13回:災害リスクを選定するための方法)その導き方を示した。問題は「被害想定」の方だ。中小企業の被害想定の書き方には概ね次の3つのパターンがあって、それらがBCPにとって適切なのかそうでないのかがいつも気になっていたのである。
・恣意的な被害想定を書く
・パブリックな被害想定を使う
・過去の被災データを参考にする
そこで筆者の独断と偏見ではあるが、次の2つの側面からこれらの書き方の是非を考察してみよう。
その一つは「被害想定は現実的か?」である。思いつくままに被害想定をたくさん列挙すればよいというものではない。その会社にとって的を射た現実的な被害想定が掲げられているかという意味である。もう一つは「その被害想定をBCPの方針・対策・手順に反映させうるか?」である。どんなに精緻な被害想定を書いたとしても、そのことがBCPとしての方針・対策・手順に何も反映されなければ(or させることができなければ)、十分とは言えない。
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方