ロックフェラー財団100RCに見る街づくりのポイント
洪水リスクやインフラ老朽化への対策
第2回:ヴァイレ(デンマーク)
国際大学GLOCOM/
主任研究員・准教授、レジリエントシティ研究ラボ代表
櫻井 美穂子
櫻井 美穂子
ノルウェーにあるUniversity of AgderのDepartment of Information Systems准教授を経て2018年より現職。博士(政策・メディア)。ノルウェーにてヨーロッパ7か国が参加するEU Horizon2020「Smart Mature Resilience」に参画。専門分野は経営情報システム学。特に基礎自治体および地域コミュニティにおけるICT利活用について、レジリエンスをキーワードとして、情報システム学の観点から研究を行っている。Hawaii International Conference on System Sciences (2016)およびITU Kaleidoscope academic conference (2013)にて最優秀論文賞受賞。
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緑と水に囲まれた美しい街
今回は、デンマークのヴァイレという街のレジリエント戦略についてです。ヴァイレは、北欧諸国から唯一「100RC」に選ばれた街です。~皆が共に、ロバストで持続可能な街~をスローガンに、2016年にレジリエント戦略を策定しました。注力する分野は市民参加、デジタル化、そしてソーシャルレジリエンス構築の3つです。人口規模は11万人程度。小さな街が、大きな社会課題を解決する――ことを高々にうたっています。
ヴァイレは、デンマークの昔の言葉で“フィヨルド”を意味する言葉がその由来です。12世紀、ヴァイレ川の支流にある谷間に人々が住み着いたころから、水は常に街のシンボルであり、生活の一部でした。ヴァイレには近年、IT企業やクリエーティブビジネスを手掛けるスタートアップ企業が多く誕生し、街の経済とイノベーションの源泉となっています。特にスマートシティに関するサービスが数多く生まれています。また、2012年には、デンマーク国内で最も難民との“社会的統合”が進んでいる街として表彰されています。
ヴァイレが抱えるチャレンジ
歴史的に水とともに生きてきたヴァイレでは、近年洪水リスクが増加しています。短期的なショックおよび長期的なストレスは次の通りです。
・ 気候変動と洪水リスク
ヴァイレ周辺は度々洪水に見舞われています。ゲリラ的な豪雨も発生しています。
・ 都市化
人々の生活の質や都市インフラに影響があります。交通量の増加は環境へ影響を与えています。
・ インフラへのニーズ増加
物理的なインフラ(道路や橋など)に限らず、ITを活用した新しいデジタルなライフスタイルへの移行をサポートする必要があります。さらには、既存インフラの老朽化も問題となっています。
・産業構造の変化、グローバルエコノミー
地域の雇用に不確実性を与えます。
・人口動態の変化
社会的な結合が薄まっています。強固なコミュニティーを作り、公平な社会を維持する必要があります。
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