支援多い団体は要請なくとも活動

次に全国社会福祉協議会職員で、JVOADシニア・コンサルタントの園崎秀治さんが次のように報告されました。

・JVOAD福祉支援専門委員会準備会を2018年5月に立ち上げ、様々な支援活動者に声掛けをし、勉強会を重ねてきた。
・福祉支援の体制は近年、整備され始めてきたが、多種多様かつ多数の専門組織があり、その連携が大きな課題といえる。
・2018年の西日本豪雨では倉敷地域災害保健復興連絡会議(kuraDRO)が立ち上がり、医療関係者に加え、保健、福祉関係者も出席し医療で完結できない福祉的ニーズが必要との認識も共有されつつあった。
・これからの福祉支援は、福祉関係者のネットワークづくり、医療、保健。看護等の近接領域との連携、そのような連携を促すコーディネータの養成、途切れない支援体制、そして地域支え合いセンター等による長期的支援が重要となる。

3番目に、関西大学の菅磨志保准教授からJVOAD福祉支援専門委員会準備会による「災害時の福祉支援活動と対応体制に対するアンケート調査」の概要が報告されました。このアンケートは、日本ソーシャルワーク教育学校連盟の杉本美奈子氏、早坂佳恵氏らの膨大な作業により行われたことに謝意が示されました。災害時の福祉支援について、議論の土台となる多様な団体の支援実態を把握するため、485件の団体にウェブ調査を行い、回収数は64件、回収率13.1%だった。調査結果から、特徴的な傾向は次の通り。

・支援回数が多い団体は何らかの要請でなく自主的に活動
・被災地の(受援)組織が非被災地の(支援)組織よりも時間が経過してから支援活動をしている傾向がある
・巡回支援活動は、被災地(受援)組織のほうが多い

浜松医科大学の尾島俊之教授の研究を引用して、医療では通院患者数4811万人に対し、医師は32万人、看護師が115万人。要介護(要支援)認定者632万人に対し介護職員が183万人。災害時にはこれ以上の受援ニーズが顕在的、潜在的に発生するため、支援が追い付いていない可能性が高い。

4人目に、群馬県災害派遣福祉チーム(ぐんまDWAT)の鈴木伸明氏が報告しました。

・群馬県災害福祉支援ネットワークは、2014年7月に検討会を立ち上げ、2016年3月に施設間相互応援協定を締結して、専門職支援部会を設置し、2017年4月にDWAT先遣隊の募集を行って研修を重ねてきた。
・2018年8月に初めて岡山県にDWATとして派遣が行われた。実際の活動は、多様な相手と連携して、福祉に限定しないなんでも相談、保健師との巡回、集いの場の運営、生活環境改善、子どもへの支援、その他寄り添い支援など。
最後に、日本ソーシャルワーク教育学校連盟事務局長の小森敦氏が、全国災害福祉支援連絡協議会(災福協)の立ち上げにむけた動きを報告しました。
・東日本大震災において福祉関係団体が行った支援活動をまとめ「災害ソーシャルワーク入門」を刊行。テキストを作成して、災害福祉支援活動基礎研修を関係団体と共同開催した。
・福祉の職能や教育団体の組織特性を活かしつつ、連携・ネットワーク協議体を作り、支援活動の効率化、支援の量の最大化を図れないかと考えている。

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(了)