2018/10/12
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
台風21号で話題になった「高潮」ってどんなもの?
さて、台風はやってきたら様々な災害をもたらしますが、台風21号の関西の状況を知るまで、高潮について、イメージできない人が今までは多かったのかもしれません。台風には、高潮を発生させる要因がいくつかあります。

1つは吸い上げ効果。台風は低気圧だから、周囲より気圧が低いのです。そのため海面を吸い上げていくので高潮になります。1hPa気圧が低くなると、海面は約1cm上昇します。そのことから、1000hPaから、台風の気圧が例えば950hPaだったら、1000cm−950cm=50cmも海面が上昇してしまうということになります。
簡単に引き算だけで計算できてしまうので、引き算ができる子どもたちには早くから高潮の計算の仕方を教えてあげたいですよね!
もうひとつ高潮が起こるわけは、風による吹き寄せ効果です。台風の強い風が海岸に向かって吹きこんできたら、陸にむかって水位をあげるのです。
日本の平均気圧は1013hPaなので、例えば950hPaの台風が来た場合、単純に引いてみると63なので、低気圧による海面上昇だけなら、63センチしか海面は上昇しないはずです。でも、高潮が2mにもなるのは、吹き寄せ効果により、風速が2倍になれば潮位は2乗でいつもの4倍の海面上昇があるからです。
この2乗という計算方法、自然を相手にする時に多いなと感じています。いつも洪水避難でお伝えしているのが、動水圧です。流速に対し、2乗の力がかかります。だから水に入る際、いつもより速い流れがあったら軽い気持ちで水に入らないでと力説している部分です。
人の想像よりも強い力になっているのが、2乗が関係しているかもと思ったりします(流体力学なので同じといえば同じかも)。だから、台風の風速の発表があると、各自が2乗を計算して、いつもの何倍の高潮になるかも・・・と、自分で考えられる人が増えてほしいなと思います。もともと強い風が吹く台風の風速をさらに2乗するのですから、かなりの海面上昇ですよね。
さらに、浅瀬で波が高くなり、海岸付近で波の形が不安定になって、海水が沖に戻りにくくなり、沿岸部の潮位が特に上昇するウエーブセットアップという現象も高潮の原因です。

また、高潮は風が吹いてくる方向に開いた湾で起きやすいのです。

東京湾を含め、過去に被害にあっているところはわかっています。水深が浅く、南〜南西に開いていると被害を受けやすいからです。
そして、山本さんが警鐘する高潮の怖さは次の3点です。高潮は、じわじわ波が高くなってくるわけではなく、急に海面が高くなり、しばらくその高さが続きます。低い土地ではなかなか水が引きません。そして、高潮になる前に暴風になっているので、暴風前に対策をしないと間に合いません。
暴風や高潮がいつ発生するかということについては、注意報、警報がでたら気象庁のHPを調べれば詳しく書いています。

でも、なぜ、これだけ台風が来ているというのに、情報の使いこなし方を私たちは知らないのでしょう?小学校5年生で台風の進路を習い、中学2年で、高気圧、低気圧を学んで4つの気団を暗記しますが、高潮の話はでてきません。ウェーブセットアップなんて言葉は大人でもどれだけ知っているのかなと思います。
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