カスリーン級の台風が来たら荒川は氾濫!

また、講演を実施した10月1日というのは、気象上は有名な日なのだそうです。これ、ご存知でした?1917年(大正6年)の台風ですが、名前もついていないので、全く知らないという方も多いのではないでしょうか?私も知らなかったのですが、東京湾で高潮被害をもたらした台風なのです。高潮というと台風21号が来た時に、関西空港や関西周辺で大きな被害がありましたが、東京湾でも過去にあったということです。行徳にあった塩田が、この高潮被害で廃業になったそうです。

出典:第1回 港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策検討委員会「気象庁が発表する防災気象情報」
(気象庁総務部参事官 弟子丸 卓也) http://www.mlit.go.jp/common/001159115.pdf

そして、この台風の進路は、2018年台風25号がもう少し南のコースをとれば、同じ進み方であることがわかります。ということは、東京湾で今年、高潮被害が発生したとしてもおかしくなかったということです。東京は台風に強いというのがただの安全神話ということがわかります。

とはいえ、今は堤防もあるからと思っている方もいるかもしれません。でも、カスリーン台風がふたたび襲えば、荒川は氾濫することも想定されているのです。

「河川に関する防災情報」 (国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 河川保全企画室長 齋藤 博之 P116) https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/wxad/pdf/3-2.pdf


だからこそ、江東5区広域避難推進協議会で広域避難が検討されています。そして、対象になる水害は以下の2点です。


 
1,今までに経験したことのないような巨大台風による高潮氾濫
2,長時間の豪雨による荒川および江戸川の大規模洪水氾濫

この2点。

ちなみにこれは余談ですけれど「今までに経験したことがない」とか、「50年に一度」「100年に一度」という警戒文、ママたちから分かりにくいと不評です。「今までに経験したことがないからイメージしにくい」とか、「50年も100年も生きていないから、違いが想像しにくい」という声があったりする事をご参考までに!

ともあれ、この2点が重要で、2の長時間の豪雨も、例えば、平成27年9月関東・東北豪雨は、温帯低気圧に変わった台風ともうひとつの日本に接近してくる台風の2つ台風の影響により、線状降水帯ができたことで起きました。

つまり、大災害をもたらす豪雨も台風が関係している場合が結構あります。それゆえ、台風について、本当に理解しているのかどうかがとても大事になってきますよね!

でもね。台風ってこんなに来ているのに、そして、毎回、進路予想が出されるのに、結構、理解されていないかもと私も講演で感じていました。