海外リスク
-
第1回 企業経営とリスク
日本の損害保険の市場規模は世界147カ国中でアメリカ、中国、ドイツに次いで第4位です。しかしながら、GDPに対する割合でみると2.37%で23位となり、世界平均の2.81%さえ下回っています。企業保険と個人保険の区分別統計データがないので、企業保険だけの実態は不明ですが、日本の損害保険市場の60%以上が自動車保険(自賠責を含む)であることから類推すると、個人保険の依存度が大きいと思われます。おそらく、企業保険だけの統計があれば対GDP割合はもっとずっと下位になることでしょう。
2020/01/29
-
第87回:緊急事態下でのコミュニケーションに関する実態調査(2020年版)
BCMの専門家や実務者による非営利団体BCI(注1)は、緊急事態におけるコミュニケーションに関する実態調査の2020年版「Emergency Communications Report 2020」を2020年1月に発表した。この調査は2014年から毎年行われており、本連載で紹介させていただくのも今回で4回目となる(注2)。
2020/01/28
-
日本式をローカライズで失敗
日系企業が強大な中国市場にのぞむとき、よく「中国人の文化や習慣に合わせてローカライズする必要がある」という認識が先行しがちです。ところが、意外にも日本で流行しているものがすべて中国の市場に受け入れられるわけではありません。中国市場に勧めたいものが商品であれば、仕様や使い方、色合い、味付けなどを変更することである程度対応は可能ですが、形のないサービス、特に日本人の国民性に立脚したサービスである場合は、それを中国市場で展開するために大きな壁がいくつも存在します。
2020/01/27
-
翌朝
攻撃の翌朝早く、私はニューヨーク市保健局の環境衛生担当の副局長として、避難区域—いわゆる”レッドゾーン“—の6街区北にある東20丁目の警察アカデミーの2階図書館に設営された緊急事態オペレーションセンターの担当であった。保健局の同僚の何人かは夜間にダウンタウンへ移動し、まだ現場にいた。彼らからの報告によって保健局は大きな現場で消火や瓦礫の掘り返しに従事しているファーストレスポンダーの人たちがさらされているハザードに焦点を当てることになった。
2020/01/24
-
今、企業に求められる感染症危機管理
感染拡大を続ける新型コロナウイルス。国内企業はどう対応すればいいのか。ミネルヴァベリタス株式会社顧問の本田茂樹氏に寄稿をいただいた。
2020/01/23
-
第86回:米国が2020年に特に警戒すべき非常事態は何か
今回紹介させていただく調査報告書「Preventive Priorities Survey 2020」は、米国のCouncil on Foreign Relations(外交問題評議会)(略称 CFR)が2019年12月に発表したものである。CFRは1921年に設立された、外交問題や世界情勢を分析・研究するシンクタンクを含む非営利の超党派組織で、米国の対外政策に非常に強い影響力を持つと言われている。
2020/01/14
-
理解に苦しむ日本人サラリーマンの言動
「まったく何を考えているかが分からない」「YESなのかNOなのかがハッキリしない」「細かい質問をしてくる割に契約に至らないことが多すぎる」。多くの中国人ビジネスマンが愚痴る相手は、日本人サラリーマン駐在員です。残念な情報ではありますが、日系企業を相手にするビジネスを行って来た中国人ビジネスマンのなかには、最近日系企業とのビジネスを避けようとする風潮があるようです。
2020/01/10
-
現地化する 悪いことはグレートマシーンにつながれていないときに起きる
1970年の夏は誰が思い起こしても最も暑い夏であった。海岸から離れた丘陵地帯や山岳部では、来る日も来る日も華氏100度になった。カリフォルニアは干ばつで有名であるが、その年は夏が深まっても雨が降らなかった。6月以降、一滴の雨も。
2020/01/10
-
沿岸ストーム対策計画
9.11の直後の数年間、OEMはテロリズムを重視していた。しかし、2005年8月29日の月曜日早朝、ハリケーン・カトリーナがミシシッピ州とルイジアナ州の州境に上陸する頃までには、われわれの関心の対象は変わってしまった。
2019/12/27
-
【2019年】1位は「ペットがのどを詰まらせたら」
1.ペットがのどを詰まらせたらどうする?気道異物除去について 体の大きさで力加減が大切 (ペットライフセーバーズ:助かる命を助けるために/サニー カミヤ氏)
2019/12/27
-
第83回:地政学的リスクの現状と企業における対策状況
これまで本連載でご紹介してきた調査報告書の中には、様々な種類のリスクの高さを各国・地域ごとに比較して示したものがいくつかあった。例えば第71回でご紹介した『FM Global Resilience Index』(注1)では、自然災害リスクやサイバーセキュリティ、汚職対策の状況、社会インフラの整備状況などを含む12の観点からリスクを評価した結果を各国ごとに表示するようになっているが、これらの様々なリスクのうち、各国の政治や経済、治安の状況などに関連するリスクを総称して「地政学的リスク」(geopolitical risk)という。
2019/12/17
-
もう一つのパラレルな宇宙
2003年3月20日、“衝撃と畏怖”爆撃作戦が、米国主導の多国籍軍によるイラク進攻の合図となった。3週間後、21日間の激しい戦闘の末に、米国、英国、オーストラリア、ポーランドから派遣された18万人の部隊がイラク軍を圧倒し、サダム・フセイン政権を倒した。
2019/12/13
-
中米経済摩擦の狭間と国際規格
11月27日、米国のトランプ大統領が香港の民主派運動を擁護する「香港人権・民主主義法案」に署名したというニュースが飛び込んできました。
2019/12/06
-
最初のグレートマシン(2)
全米―そして世界から、一点に収束された関心は災害対応であった。 フランスの新聞ル・モンドは、「今日9月12日は、われわれみんなアメリカ人だ」と伝えた。9/11の衝撃は、ほぼ誰にでもどこにでも影響を与えたと思われ、それは溢れ出る連帯と支援を引き出した。何百人、いや何千人もの人たちが連帯を示し、彼らができるどんな方法でも手助けできるようにとニューヨークに押し掛けてきた。
2019/11/29
-
最初のグレートマシン ニューヨーク市がわれわれにやり方を示す
ブルックリン区の東フラットブッシュで生まれて大きくなったルドルフ・ウイリアム・ルイス・ジュリアーニは、民主党候補のデイビッド・ディンキンスを破って、過去30年間で初の共和党員のニューヨーク市長となった。市は当時、犯罪の急増と全国的な不況による失業でよろめいていた。ジュリアーニは、ニューヨーカーに酔っ払いや乞食に支払う「ストリート税」を根絶すると約束した。
2019/11/15
-
空気を読まないのでなく、読まなくていい国
まず、最初にお断りしておきたいことがあります。簡単に中国大陸に住んでいる人々を十把一絡げで「中国人」と呼ぶのは大変危険です。
2019/11/15
-
皆このことをもっと得意にすべきではないか?
「これは警鐘である。連邦緊急事態管理庁だけに依存することはできない。皆が力を合わせて改善するためにはどうすべきであるか、われわれは腰を落ち着けて考えるべきである」 (FEMA長官 ブロック・ロングー2017年9月3日放映「フェイス・ザ・ネーション」より) もちろんそれらはたまたまここで起きたということではない。 それがどこで起きようとも、どんな大災害の後にも、子供や家族を苦しめることになった失敗の責任を関係者の間で押し付けあうという期間がある。
2019/11/01
-
展示会出展とその現実
今もなお、多くの日系企業が中国で開催される国際展示会への出展を続けています。
2019/10/18
-
こわれやすい人間関係
25年前の8月の暑い夜、アンドリューが南フロリダに大打撃を与えたとき以降の数十年間に大きな変化があったと主張する人が多い。それゆえオバマ大統領と彼が任命したFEMA長官であるクレイグ・フゲイトとのブロマンスに話を戻そう。フゲイトが言ったように、FEMAは国の緊急事態管理チームではなく、FEMAはチームの一員にすぎないというなら、チームはどのようにしているのだろうか?ニューヨーク・タイムズ流に言うならば“教訓は得られたのだろうか”?我々は過去の災害において世界が目にした欠点を直したのだろうか?
2019/10/18
-
来社した役人が偽物!?
日系企業の多くは、定期的に工場設備の保守メンテナンスや新しい設備の調整などのために本社から現地工場へ日本人技術者を定期的に派遣したりします。
2019/10/07
-
ビクトリー・ラップ
超活動的な2017年のハリケーンシーズンの特徴は6つの大型ハリケーンであり、それは破壊的な2005年シーズン以来の最多の数である。記録上最も高くついたハリケーンシーズンであり、損害額は2810憶ドル(約28兆1000億円)であり、ほとんど全てが米本土に上陸した3つの大型ハリケーン―・ハービー、イルマ、マリア―によるものである。
2019/10/04
-
世界で猛威、ウエストナイル熱・脳炎
世界の多くの国々で問題となっているウエストナイル熱やウエストナイル脳炎の病原体であるウエストナイルウイルスは、1937年にアフリカ・ウガンダの西ナイル地方で発熱していた女性から初めて分離されました。このウイルスは、日本脳炎ウイルスに極めて近いウイルスです。しかし、豚が重要なウイルス増幅動物となっている日本脳炎ウイルスと異なり、ウエストナイルウイルスは元々鳥類と蚊との間で感染サイクルが維持されていたウイルスです。その感染サイクルに人や馬が入り込んだために、主として蚊を介して人や馬が感染し、発熱や重症の脳炎を引き起こすのです。
2019/09/24
-
三社見積もりという愚
前回のコラムでは、日本人駐在員と現地スタッフの待遇の差について話しましたが、今日はその中で現地スタッフが給与以外にお金をもうけようと、たくましく頭を使っていろいろな手段を講じていることをご紹介しましょう。
2019/09/20
-
米国災害システムの神話
ニューオリンズ市緊急事態準備部副部長のカール・メテイリーは40時間以上寝ていなかった。市の首席行政官のオフィスの9階にある薄暗い緊急事態対策本部(EOC)の混沌の中を歩くとき、自分の将来にうたた寝などというものがあるとはとても思えない。典型的な日には大きな会議室くらいのこのスペースで30名は快適に仕事をすることができたであろう。今は、立ち止まっているグループ、机に座っている人、静かにしている人、そうではない人、会話をしている人、電話をしている人、壁に掛けられた一列のテレビモニターをぼんやり見ている人で、少なくとも100名の人がいる。
2019/09/20
-
次なる本当に大きな地震が起きた後、われわれは何を語っているだろうか?
ピュリツァー賞を獲得した記事「真の大災害」の中で、ニューヨーカー誌の記者であるキャサリン・シュルツ氏は北米大陸史上最悪の自然災害について述べている。科学者によると、1700年1月26日、太平洋岸北西部での大地震がカナダのバンクーバー島から南へ約900キロ、カリフォルニアの北部にかけての地殻を切り裂き、破滅的な被害をもたらした。地質学上の記録によれば、マグニチュード8以上のこのような“大地震”は、太平洋岸の北西部では500年に一度の割合で発生している。“真の大災害”でシュルツ氏はこの事実が何を示唆するかを述べている。次なる真の大災害は14万平方マイルの地域に被害を及ぼし、ワシントン州のシアトル、タコマ、オレゴン州のポートランド、ユージン、セーレムといった人口の集積地に壊滅的な打撃を与える。700万人がパラレルな宇宙に投げ込まれる。そのうち1万3000人が死亡し、2万7000人が負傷する。100万人分の避難所、250万人分の水と食料が必要となるであろう。
2019/09/06