海溝型地震
一つの巨大な問題が多くの巨大な問題を生じさせるという原理のもとで活動する
―キャサリン・シュルツ「本当に大きな地震(The Really Big One)」
ピュリツァー賞を受賞した記事「本当に大きな地震」の中で、ニューヨーカー誌記者のキャサリン・シュルツは北米大陸史上最悪の自然災害について述べている。科学者によると、1700年1月26日、太平洋岸北西部での大地震がカナダのバンクーバー島から南へ約600マイル、カリフォルニアの北部にかけての地殻を切り裂き、破滅的な被害をもたらした。地質記録によれば、マグニチュード8以上のこのような“大地震”は、太平洋岸の北西部では500年に一度の割合で発生している。
「本当に大きな地震」でシュルツはこの驚くべき事実が何を示唆するかを述べている。次なる本当に大きな地震は14万平方マイルの地域に被害を及ぼし、ワシントン州のシアトル、タコマ、オレゴン州のポートランド、ユージン、セーレムといった人口の多い主要な都市に壊滅的な打撃を与える。700万人がパラレルな宇宙に投げ込まれる。そのうち1万3000人が死亡し、2万7000人が負傷する。100万人分の避難所、250万人分の水と食料が必要となるであろう。
閑話休題、「本当に大きな地震」からの抜粋である:
カスケード地震が起きると、何匹もの犬がうるさく吠える不協和音と、津波が到着するまでの”今のは何?”という長く停止したときがある……
揺れが始まってまもなく、カスケード山脈の西側、おそらくさらに広域に渡って高圧送電線網が遮断される。夜間であれば、それに続く災害は闇の中で発生する。室内の固定されていない物は全て床を飛び交い、あるいはつぶされる。本棚、ランプ、コンピューター、食料貯蔵室の小麦粉の缶がある。冷蔵庫は台所から歩き出し、プラグを引き抜いて転倒する。湯沸かし器は落下して内部のガス管を叩きつぶす。基礎にボルト止めされていない家屋は滑り始める……
他のより大きな構造物も壊れ始める。
全域に渡って百万という単位の建物が崩壊する……
カスケード地震の揺れは全域で―シアトルだけで3万カ所もの―地滑りを引き起こす……。さらに悪いことには、それは液状化と呼ばれるプロセスを伴う。堅固と思われた地盤が液体のように流動化する、その上にある全てのものに被害が及ぶまでに……。それとともに強いうねり、地滑り、震動は火災、洪水、パイプの破損、ダムの決壊、有毒物質の漏出の引き金となる。これらの二次災害のどの一つをとってもコスト、損害、負傷者数の面では元の地震を圧倒する。一つがである。
犬が吠え始めてから4~6分後には、揺れは収まる。その後の数分間、ひっくり返された地域はばらばらに自壊する。
そして津波が来て、本当の破壊が始まる。
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